本研究では、成膜および熱処理条件が集合組織に与える影響を実験的に検討した。ガス流量によらずAl2O3の(0001)面が成膜面に15程度傾いた繊維集合組織が形成され、流量の増大に伴い集合組織が発達した。底面と錘面のすべり系の活動の考慮により集合組織の形成が説明できた。また、Al2O3膜の熱処理により(0001)の表面エネルギーが他の面より低いことに起因して切削に有利な配向である(0001)繊維集合組織が形成した。Ni膜では変形の安定方位である{011}面の繊維集合組織を形成し、流量増加により集合組織が発達した。真ひずみで-1.0~-1.5程度変形させた場合の同様の集合組織の発達を示した。
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