触媒援用加工法はワイドバンドギャップ半導体などの難加工材料の加工法として注目されている。本研究では、加工法の実用化を目指した改良のための指針を与えることを目指し、エッチング反応のメカニズムを第一原理計算を用いて原子レベルで解明した。また固液界面反応をさらに詳細に調べるための手法の開発にも取り組んだ。従来成功しているSiC―HF-Pt系ではなく水分子をエッチャントとして用いる反応系としてSiC―H2O-PtおよびGaN―H2O-Pt系の解析を行い、水分子解離吸着に伴うSi-C、Ga-N結合の切断過程を明らかにするとともに、室温レベルで反応が進行しうる低い反応障壁を実現できることが明らかとなった。 平成29年度は、SiCについては触媒作用による反応障壁低下メカニズムの詳細を解析し、化学結合による安定化と、SiC-Pt距離に依存した原子構造のひずみによる不安定化により説明できることを明らかにした。GaNについては、Pt高さ・位置の依存性の解析を行うとともに2つめの水分子の解離吸着過程を解析を行った。さらに、GaだけでなくNの除去過程の解析を開始した。 固液界面反応解析は、液体側の原子構造がランダムであるため多くの構造をサンプルする必要がある。効率的に反応経路を探索することのできるメタダイナミックス法において、本研究では人工的追加ペナルティポテンシャルをターゲットとする反応自由度に対する運動エネルギー成分に依存させる手法を提案した。本年度はプログラムの開発を行い、高速化の実現可能性を得た。
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