オーステナイト系ステンレス鋼に対し,150℃という比較的低いダイス温度の条件で1回または2回のECAP加工を施した。2パス加工については,双晶密度を増加させたり,組織を均質化させたりするために,1パス後および2パス後に熱処理を施した。600℃での中間熱処理を施すことで双晶密度が47%まで増加し,最大引張強度も1160MPaに達した。1パス加工材については熱処理によって低サイクル疲労における繰返し軟化が抑制され,高サイクル疲労における疲労強度が増加した。しかし,2パス材では,熱処理無しでも非常に優れた疲労特性を有しており,それらのに及ぼすは熱処理の追加的な効果は低かった。
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