研究実績の概要 |
3年計画の中の2年目である本年度における研究目標は,「Al-Li-Cu-Mg系合金製作条件の抽出と成形性および時効硬化特性の調査」であり,これを達成するための具体的な目標は,①3元系および4元系合金の作製,②圧延成形性の調査および③時効硬化特性の検証であった。以上の①~③の実績を以下に概説する。 ①2元系合金はAl-0,1,2,4%Li系合金の4組成を2鋳物づつ,3元系合金はAl-0,1,2,4%Li-2%Mg系合金の4組成を2鋳物づつ,ならびに4元系はAl-0~4%Li-2%Mg-2%Cu系の4組成を2鋳物づつ,それぞれ鋳造試験により前期にて製作して,品質評価を行い試験に供せれる事を確認した。(達成率100%) ②圧延成形性の調査は,上記の中で2元系,3元系,4元系の4種類の鋳物の内,各2組成の鋳物についてのみ冷間圧延での成形性(展延性,割れの有無や組織の状態など)を評価した。各元系合金の残りの2組が評価未実施であり,翌年(最終年度のH29年度)に繰り越しとなった。(達成率50%) ③時効硬化特性の調査は,上記②について,溶体化時効処理を行い,200℃の人工時効における硬さの時効硬化曲線取得と一部組織のTEM(電子顕微鏡)観察までを行った。(達成率50%) 以上①~③を総括すると,当初の計画(2年目計画)の目標に対して,約70%弱の計画達成率((100%+50%+50%)/300%=67%の達成率)となり,30%強程度の未実施部分が来年度へ持ち越しとなった。挽回策として,鋳造速度と効率の高い350tonダイカスト鋳造機を本年度末1月に学内に導入設置するなどしており,最終年度の計画見直し,改善と効率化とも併せて,最終年度(H29年度)にて,当初の研究計画の目標を達成する予定である。
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