マグネシウムは、軽量で、資源が豊富、リサイクル性が優れているが、リサイクルプロセスは確立されていない。一般的なリサイクルプロセスの<液相法>の溶解鋳造は、マグネシウムの耐食性に悪影響を及ぼす鉄、ニッケル、銅等の不純物の混入の恐れがあり、廃棄物を正確に分別しないといけない。また、マグネシウムは大気中で溶解すると燃焼するので、燃焼の恐れのないプロセスが必要で、本研究では、真空蒸留法による<気相法>、塑性加工法による<固相法>で、安心・安全な自給自足技術の構築を目指した。 平成29年度は、平成27・28年度に得られた結果を基に、<マグネシウムの固相リサイクルの確立>および<マグネシウムの気相-固相リサイクル材の特性>について検討した。 <マグネシウムの気相-固相リサイクル材の特性>は、気相法で得られたマグネシウム凝縮物を押出し加工および圧延加工を行い、幅70mmの圧延材を作製した。押出し比を変え、厚さの違う押出し材を作製し、最終厚さは2mmと同じ厚さの圧延材を作製した。押出し温度および圧延温度は375℃と同じ温度で行ったところ、引張特性の異方性はほとんどなく、押出し後、圧延を行うことで硬さが大きくなった。<気相法>から<固相法>で作製しているので、鉄、ニッケル、銅等の不純物の混入はほとんどなく、純度99.995%以上の真空蒸留・押出し・圧延材(気相-固相リサイクル材)が作製でき、良好な耐食性も得られた。押出し後、圧延を行い表面粗さも小さくなった。
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