研究課題/領域番号 |
15K06532
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
官 国清 弘前大学, 北日本新エネルギー研究所, 教授 (90573618)
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研究分担者 |
阿布 里提 弘前大学, 北日本新エネルギー研究所, 教授 (70565374)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 磁性電気活性粒子 / 金属イオン / 吸着 / 脱着 / 分離回収 / イオン交換 / 磁性粒子 |
研究実績の概要 |
磁性電気活性イオン交換粒子を用いた有害金属イオンの高効率な分離回収システムを構築するため、平成27年度はまず酸化状態の電気活性イオン交換材料に磁性を付与して、磁性を持つ電気活性イオン交換粒子を調製した。各磁性粒子の合成方法を試した結果、ソルボサーマル法を用い、均一サイズの磁性Fe3O4粒子を大量合成に成功した。合成条件により磁性粒子のサイズは400~900nm範囲内に調整できた。この磁性粒子の表面に導電性がある多孔質カーボンや導電高分子(ポリピロールやポリアニリンなど)を被覆した後、電気活性材料のヘキサシアノ鉄酸ニッケル(NiHCF)の前駆物質(K3[Fe(CN)6溶液とNiSO4溶液)に順番に繰り返して含浸して、各種類の磁性電気活性粒子を調製した。得られた磁性電気活性粒子は水溶液に均一に分散でき、磁石で容易に回収することが分かった。また、BET,XRD, SEM, TEM及びテスラメータを用いて、試作した磁性電気活性粒子の物理特性(粒子形状、比表面積、磁性等)を評価し、各種磁性電気活性粒子の調製方法を最適化した。更に、各種類の磁性電気活性粒子を用いて低濃度のセシウムイオンの吸着実験を行った結果、得られたFe3O4@NiHCF-C磁性電気活性粒子短時間内セシウムイオンをほぼ100%吸着できた。現在、磁性電気活性粒子を特殊の磁性電極表面に固定し、磁性電気活性粒子の電気化学特性を評価している。また、電磁場制御と電気化学的制御を一体化する小型の気(撹拌用)-液(模擬汚染水)-固(磁性粒子)流動層式金属イオン連続分離・回収装置も設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定したStober法を改良して、磁性Fe2O3ナノ粒子をin-situ三次元細孔構造を有する球状シリカ粒子に担持したが、得られた磁性粒子の導電性が悪いため、セシウムイオンの吸着性能がよかったが、吸着した金属イオンの脱着が電気で制御されることができなかった。したがって、磁性電気活性粒子の調製方法を変えて、ソルボサーマル法で、まず均一サイズの磁性Fe3O4粒子を大量合成したから、磁性粒子の表面に導電性がある多孔質カーボンや導電高分子を被覆した後、電気活性材料の前駆物質に含浸して、各種類の磁性電気活性粒子の調製に成功した。これから、得られた磁性電気活性粒子を用いて次の研究段階に行けると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は電磁場制御と電気化学的制御を一体化する小型の気(撹拌用)-液(模擬汚染水)-固(磁性粒子)流動層式金属イオン連続分離・回収装置を試作する。本研究では不活性ガスのバブリングで磁性電気活性粒子を模擬汚染水に分散する。また、相互干渉を避けるため、電磁石制御と電気化学的制御を別々の電気回路で実現する。また、試作した分離・回収装置の気液固流動特性と、電磁石へ通電した場合の電極の磁性電気活性イオン交換粒子への捕集能力を調べて、装置の流動条件及び電磁石の制御条件を最適化する。更に連続吸脱着実験により得られた磁性電気活性粒子のセシウムイオン分離特性及び安定性などを評価する。ここで、分離効率に及ぼす目標イオンの濃度、共存イオン(例えば、Na+,K+,Cl-,I-等イオン)の濃度、磁性電気活性粒子の使用量、磁性電気活性粒子への印加電圧などの影響を明らかにする。
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