研究課題/領域番号 |
15K06534
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 善之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50243598)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 溶解度パラメータ / 相分離 / CO2溶解度 |
研究実績の概要 |
高圧CO2を希釈溶剤の代替として用いるCO2塗装技術はVOC削減、乾燥エネルギーの低減が可能である、しかしながら、塗料によってはCO2を混合すると貧溶媒作用によりポリマー析出のトラブルを生じ、用途拡大の課題となっている。本研究では、超臨界CO2塗装法における溶剤選定指標作成のために、塗料+溶剤+CO2系の相挙動観察および相平衡測定を行い、その結果と各成分の溶解度パラメータ(SP値)との関係性を調査した。本年度は塗料にはアクリル樹脂を、幅広いSP値の8種の溶剤を用いて塗料+溶剤+CO2系の相挙動を観察し、ポリマーの析出が起こり難い溶剤のSP値について考察した。その結果、ポリマー析出を抑制できる溶剤が存在することがわかった。 次いで、相挙動観察結果を基に、3 種の溶剤を用いて塗料+溶剤+CO2系の相平衡測定を行い、所定の圧力におけるCO2溶解量を把握することで、溶剤+CO2混合溶媒のSP値を算出し、相挙動との関係性について考察した。その結果、塗料+溶剤に対するCO2溶解量を推算し、混合溶媒のSP値を算出することで、ポリマーの溶解性の予測が可能であり、溶剤選定の指標になる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験で得られた塗料+溶剤+CO2系の相分離圧力は、溶剤の溶解度パラメータ(SP値)により大きく依存していることはある程度想定していた。しかし、塗料+溶剤系に対するCO2の溶解度を考慮した混合物のSP値を用いることにより、より明確にポリマーの析出する条件を予測することができたのは、想定以上に大きな成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
CO2混合溶媒のSP値とポリマー析出の関係性をより明確にするために、塗料溶剤+CO2系の相平衡測定を幅広いSP値の溶剤を用いて行う必要がある。また、本研究では高SP値の溶剤には主にアルコール系を用いたが、他種の高SP値溶剤を相平衡測定を行う必要があると考える。さらに、申請書に記載したようにポリマー種を変更した塗料について、検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入物品として計画していた上皿天秤について、同等の能力を有しより安価な機種に変更したことと、相挙動観察セルを改良しより少量のサンプルで測定可能となったため、試薬の購入量が計画より少なくなったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
相挙動観察セルのサファイア窓の予備の購入を計画している。サファイア窓は高価でかつ納期がかかるが、予備を持つことによりトラブルが生じても実験計画を乱すことなく研究を遂行できるようになる。
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