研究課題/領域番号 |
15K06537
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高橋 博 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70197169)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リチウム / コバルト / 電気透析 / バイポーラ―膜 / イオン交換膜 / 選択分離 / リサイクル |
研究実績の概要 |
Liイオンバッテリー硝酸浸出液からのLiとCoさらには硝酸の回収を目的とした,バイポーラ―膜を用いる新規分離システムの構築を目指し,今年度は主に硝酸イオンの分離回収,硝酸製造のためのバイポーラ―膜の水解特性の測定,さらにはリチウムと硝酸の同時回収に関する検討を行った。 はじめに,硝酸イオンを回収することを目的とし,汎用の陰イオン交換膜を用いて硝酸イオンの膜透過特性に及ぼす操作条件の影響について検討を行った。その結果,硝酸イオンの膜透過速度は電流密度に比例して増加し,硝酸イオン回収側のストリップ室に蓄積した。この結果より,硝酸回収側のストリップ室にバイポーラ―膜を用いて水素イオンを生成することで硝酸の再生が可能であることが示唆された。 次に,硝酸の再生を目的とし,水解用のバイポーラ―膜を用いて実験を行い,水素イオンの生成速度に及ぼす操作条件の影響について検討を行った。その結果,本研究で使用した国産の水解用バイポーラ―膜は,電流密度の増加と共に水素イオンおよび水酸化物イオンの生成速度が増加し,また,電流効率はほぼ100%であることが明らかとなった。 これらの結果を基に,硝酸コバルト,硝酸リチウム混合溶液から硝酸ならびに水酸化リチウムを得ることを目的とし,リチウムとコバルトを分離するためのバイポーラ―膜さらには硝酸再生用の水素イオン,水酸化リチウム製造のための水解用バイポーラ―膜を利用した新しい分離装置の設計を行うとともに,基本原理,性能の確認を行った。その結果,新規に考案,設計した装置は,硝酸の再生ならびに水酸化リチウムの生成に関し,ほぼ所定の性能が発揮できることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度は,前年度のLi/Coの分離に加えて,今年度硝酸の再生,硝酸リチウムの水酸化リチウムへの転換を目的とした手法の考案,設計,加えて性能評価を行った。その結果,新規分離システムがほぼ原理通りに運転できることが明らかとなり,予定通り最終年度の計画を遂行できる見通しが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
基本ユニット1Uにおけるコバルトとリチウムの分離特性,さらには硝酸の再生特性,水酸化リチウムへの転換が可能になったことから,分離システムのスケールアップを目指した研究に移行する。 具体的には,1Uのデータを基に複数のユニットをスタック化した複合的な装置を設計,製作すると共に,分離度,硝酸再生速度等に与える操作条件の影響等に関し定量的な評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置製作費を圧縮できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度はスケールアップを目指してユニット数を増加させてスタック化した装置を設計,製作することから,前年度よりも圧縮して予算化していた実験装置製作費に上乗せして使用する予定である。
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