研究課題/領域番号 |
15K06538
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊東 章 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (50151494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | イオン液体 / ガス分離 / 液体膜 / CO2 / VOC |
研究実績の概要 |
初年度では30 cm角の平膜モジュールに小型ダイアフラム真空ポンプを接続した実験装置で試験をおこなう。本研究の特徴はこの同じ装置を異なる分離目的に適用することにある。平膜モジュールは細孔径0.1μmの超疎水性多孔質を設置したものであり,この表面にナノ粒子混合の液体膜と塗布することで,ガス・蒸気分離膜とする。 (A)空気中の二酸化炭素回収装置は,2000ppm-CO2濃度のCO2濃縮空気を1 L/min発生する性能を目標とした。これはイオン液体とアミン液体種類により異なるので最適組み合わせと組成を探索した結果,イオン液体emimDCAに20%のアミン混合液が最高のCO2分離性を示すことがみいだされた。 (C)除湿装置については親水性のイオン液体を中心に性能の大きい成分を探索した結果,emimDCA, emimSCNで除湿膜としての性能が見いだされ,その定量的評価をおこなった。 (D) 空気中のVOC・臭い成分分離・回収装置の開発についてはイオン液体成分のみでVOC分離・回収性能が示されている。性能測定は1 m3のチャンバー中に小型膜モジュールを設置し,容器中のVOC蒸気(アンモニア,メタノールなど)の1000ppm程度の初期濃度からの濃度減少を測定した。その結果ほとんどのVOC蒸気でイオン液体膜の分離性能が示された。 (F) 酸素分離膜としてのイオン液体膜の性能も多種類のイオン液体について明らかにした。多くは分離係数1.8程度で,特に酸素富化膜として実用になりそうなイオン液体はみいだせなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各試験の実験装置は整備され,実験も計画どうり順調に進展している。CO2, 酸素分離については計画どうりの分離性能に至っていないが,今後の検討で新たなイオン液体や,機能成分の混合により分離性能の向上が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
イオン液体による液体膜のガス・蒸気分離法は新規なものであり,本年度の検討によりその実現性と性能が明らかにできた。したがって研究方針は適切であり,この方向でさらに試験・検討を進めることが適切である。計画書どうりの次年度の研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した真空ポンプについて,当初計画になかった値引きが生じ,予算に余剰が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に試薬購入費として使用予定である。
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