最終年度では膜モジュールの製造性と実用フィールド試験を含む耐久性試験にて性能評価をおこなった。 1.膜モジュールの製造性と耐久性については,前年度で膜モジュールの構造を確立したので,これを標準とし,30枚の膜モジュールを製作した。この過程で実用性のある気密性の保たれた膜モジュールの設計・製作法を確立した。 2.実用フィールド試験では(A) 炭酸ガス濃縮空気供給の実用フィールドテストは当初計画の4カ所のうち①極地研究との共同研究により南極観測基地の植物栽培温室でこの装置をテストしてもらう(2009年度より継続),②人工植物栽培製造メーカーとの共同研究により小型温室での植物生育促進試験をおこなう,の2カ所で実施できた。その結果室温での試験は2ヶ月にわたり性能を発揮したが,野外での特に30℃を超える温度での耐久性に問題があることがわかった。CO2分離性能と耐久性のトレードオフを考慮する必要があり,液体膜材料(特にアミン成分)のさらなる最適化が必要であった。(C) 除湿装置については,膜面積の大きい多段装置と高性能真空ポンプの採用による除湿性能の最大化を試験した。膜面積の効果,減圧度の効果とも膜モジュールのモデル計算と一致し,除湿膜の設計法が確率された。実用への課題は真空ポンプの消費電力に絞られた。(D) 空気中のVOC成分除去については,中型チャンバーにて除去試験を実施した。アルコール蒸気,有機蒸気の多くが液体膜で除去可能であることが示された。この過程で炭化水素蒸気の分離において脂肪族炭化水素が除去性能(透過係数)が低いことが再度示された。そこで試験を芳香族炭化水素蒸気と脂肪族炭化水素蒸気の分離に焦点をあて,C6-C8の炭化水素について混合蒸気の透過分離実験を実施した。イオン液体膜への吸着実験をもとにその分離機構を解明した。
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