本研究では,同分子内にビニル基とヒドロシリル基を有するシルセスキオキサンポリマー(SQ)の架橋反応を応用したSiOC構造を設計し,気体分離膜への応用を目指した。また,SiOC構造の耐熱性,耐酸化性を評価した。Si前駆体には,triethoxysilane (TRIES),vinyltrimethoxysilane (VTMS)を用いて,ゾル-ゲル法によりSi-O-Si結合を有するシリカネットワークを形成させ,熱架橋によりヒドロシリル化することでSiOC構造を形成した。ゾル調製時の前駆体比がSiOC膜のネットワークサイズおよび耐酸化性に及ぼす影響について評価した結果,前駆体におけるTRIESの割合が高くなるほどH2/N2選択性が増加した。TRIESの割合が高くなることで,未反応ヒドロシリル基とシラノール基 が脱水素反応を起こし,ネットワークが緻密になったと考えられ,前駆体比により異なるネットワークサイズを有する膜の作製が可能であった。このようにして設計したSiOC構造は,500℃,酸化雰囲気においても膜性能変化が小さく,従来のオルガノシリカ膜と比較して高い耐熱性,耐酸化性を有することが明らかになった。
|