研究課題/領域番号 |
15K06546
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中倉 英雄 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (10116733)
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研究分担者 |
川崎 健二 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (30152945)
小渕 茂寿 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (30225560)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | フミン酸 / 炭酸カルシウム粒子 / 濾過分離 / カルシウムイオン / 超音波照射 / 浄水処理 / クロスフロー濾過 |
研究実績の概要 |
1. 高性能分散機を用いて炭酸カルシウム粒子からイオン解離したカルシウムイオン添加法を用いて、溶解性フミン酸溶液のクロスフローセラミックス膜濾過実験を行った。膜細孔径が0.1μmのN1セラミックス膜(非対称性構造膜)を使用し、濾過圧力150kPa、クロスフロー速度0.024m/sの条件下において、カルシウムイオン添加濃度が340ppmの場合、フミン酸阻止率Rが0.95以上の極めて高い値が得られた。また、N1膜を用いて濾液中のカルシウムイオン濃度について測定したところ、原液初濃度260ppmの場合、濾液中のカルシウムイオン濃度が50ppm以下と比較的低レベルな値を維持可能なことが明らかとなった(中倉)。
2. 凍結界面付近を激しく撹拌するために重要なキャビテーションの発生に密接に関係がある超音波周波数と溶液中の溶存酸素濃度に着目し、濃縮分離効率の違いを検討した。その結果、周波数200kHzよりも周波数20kHzを用いて凍結濃縮分離をする方が大幅に濃縮分離効率が良く、それぞれDOの違いによっても濃縮分離効率が変化することを明らかにした(川崎)。
3. 振盪型吸着実験装置を用いてフミン酸溶液の活性炭への吸着実験を行い、フミン酸の吸着特性を測定した。フミン酸の活性炭に対する吸着等温線はフロインドリッヒ型に近い傾向を示した。フミン酸にカルシウムイオンを添加した場合、活性炭へのフミン酸の吸着量はカルシウムイオンを添加しない場合と比較し、かなり促進された。これは、カルシウムイオンとフミン酸が錯体を形成ことによると推察される(小渕)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 1. 高性能分散機を用いて炭酸カルシウム粒子からイオン解離したカルシウムイオン添加法により、溶解性フミン酸溶液のデッドエンド膜濾過およびクロスフロー膜濾過実験を行った。両膜濾過操作とも、フミン酸の迅速かつ高度分離、並びに濾液中のカルシウムイオン濃度の低レベル化の観点から、その有効性が示された(中倉)。 2.フミン酸の濃縮分離効率に及ぼす超音波周波数の影響について検討した。その結果、周波数20kHzの場合が周波数200kHzおよび未照射の場合に比べて大幅に濃縮分離効率が向上した。この理由について、今後さらに実験・検討する予定である。(川崎)。 3.フミン酸溶液の活性炭への吸着実験を行い、フミン酸の吸着特性を測定した。フミン酸の活性炭に対する吸着等温線はフロインドリッヒ型に近い傾向を示した。フミン酸にカルシウムイオンを添加した場合は、そうでない場合に比較して、吸着量がかなり大となった。これは,カルシウムイオンとフミン酸との錯体形成の有無に起因すると推察されるが、今後定量的にさらなる検討を行う予定である(小渕)。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 1. フミン酸の捕捉メカニズムについて、多角的な観点から検討する。特に、①カルシウムイオンとフミン酸との錯体形成、②セラミックス膜面上のケーク薄層内部の液流動による清澄濾過作用、③フミン酸の吸着作用などを主眼に、マイクロスコープを用いた可視化実験、ゼータ電位測定、走査型プローブ顕微鏡測定などの手法を用いて検討・考察する(中倉)。 2. 凍結濃縮分離操作をフミン酸水溶液に適用し、濃縮分離効率に及ぼす効果を明らかにしてその最適操作条件を調査する。また、未凍結部に濃縮されたフミン酸を超音波照射により生じる高温、高圧により分解して、液中濃度を下げる可能性および好ましい条件の調査を試みる(川崎)。 3. カルシウムイオン濃度、pHならびに陰イオン種を変えた活性炭への吸着実験を行い、活性炭へのフミン酸の吸着特性に及ぼすそれぞれの因子の影響について調査・検討する(小渕)。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の支出や物品の購入などにおいて、当初の支出額に若干の影響が表れたことに起因する。特に、平成29年3月の学会出張が、3件と重なったため、その出張旅費の算定に当初に比べて若干のずれが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、迅速に計画を遂行するため、物品の購入・予算の執行を速やかに実施する予定である。
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