研究課題/領域番号 |
15K06547
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
武井 孝行 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (90468059)
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研究分担者 |
吉田 昌弘 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (50315397)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ファイバー / 毛細血管 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
代謝系臓器を人工的に創製することができれば、移植医療のドナー不足の問題を解決でき、重篤な臓器疾患患者の救命に繋がる。その実現には、まず、生体の毛細血管網を再現できる技術の確立が不可欠である。本研究では、極細の中空ゲルファイバーならびに中実ファイバーを利用することで、上述の生体血管網に極めて酷似した流路ネットワークならびにそれを利用した重厚三次元組織体創製技術の確立を目指している。 本年度は以下の項目について検討を行った。 1.細胞接着性を有する中空ゲルファイバーの作製:中空ゲルファイバーを血管として利用する際、その中空部内表面に血管内皮細胞を固定化することが求められる。ゲルファイバー材料として用いるアルギン酸ゲルの細胞接着性は極めて低い。そこで、細胞接着性タンパク質であるゼラチンやコラーゲンをファイバー内に組み込んだ。続いて、それらをトランスグルタミナーゼ等を用いて架橋した。その結果、長期間安定的に細胞接着性を有する中空ゲルファイバーを作製できた。 2.極細ゼラチンゲルファイバーの作製:wet spinning法を利用することで、直径10 μmの中実ゼラチンゲルファイバーを作製した。続いて、そのファイバーの束を乾燥し、綿飴状にした後、それをコラーゲン水溶液に加え、その溶液をゲル化させた。その後、温度を上げることによりコラーゲンゲル中のファイバーを溶解させることで、ファイバーがあった部分を毛細血管様流路にすることができた。その流路内に培地や血液を連続的に流通させることが可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実施計画」の内容を概ね達成できているため。
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今後の研究の推進方策 |
1.中空部内壁に血管内皮細胞を、ゲル部分に臓器細胞を固定化した中空ゲルファイバーを積層し、その中空部分の培地を流通させながら培養することで、臓器様構造体を作製する。 2.前年度と同様の方法を用いて、臓器細胞を添加したコラーゲンゲル内に、綿飴状ゼラチンファイバーを利用して毛細血管様流路網を作製し、その流路内部に培地を流通させながら培養することで、臓器細胞を増殖させ、臓器様構造体を作製する。また、コラーゲンゲル内に血管内皮細胞を添加し、その細胞の管腔形成能によっても毛細血管様流路を作製する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも、ファイバー原材料の購入費用を抑えることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
培養装置の部品購入費に充てる予定である。
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