研究課題/領域番号 |
15K06552
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
山下 善之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60200698)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | reboiler / heat transfer / hybrid modeling / process simulation |
研究実績の概要 |
昨年度に開発した手法の一部である「さまざまな要因で混入する外れ値を適切に除去する方法」について,学術論文としてまとめて化学工学会学会のジャーナルに投稿し,受理・掲載された.ここでは,時間的に大きく変化するプロセスのシミュレーションモデルによって生成したデータに意図的に外れ値を導入したデータセットを対象として,提案手法によって外れ値を効率的かつ適切に処理できることを検証している. 次に,水蒸気をリボイラーの熱源とする場合の蒸留塔まわりについて,汎用プロセスシミュレータを用いて対象の詳細なダイナミックモデルの開発を行い,蒸留塔やりボイラーの入口や出口における温度や圧力,流量などの経時変化を表す擬似的な運転データを作成した.その際,リボイラ-の伝熱配管内の境膜伝熱係数を運転途中で何段階かに変化するように設定し,汚れを模擬できるようにした.そのようにして生成した時系列データを対象として,前年度に開発したハイブリッドモデルによる伝熱管内汚れの推定手法にもとづいて物理モデルを作成し,さらに,運転初期の清浄な状態のデータから清浄時の境膜伝熱係数を推定するデータ駆動型モデルを作成した.この2つのモデルのハイブリッドモデルによって,配管内に汚れがある場合についても,リボイラー内の熱的な挙動と汚れの程度とを正確に推定可能であることを実証することができ,このことによって,前年度に開発したハイブリッドモデルの有効性を検証することが出来た.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,汎用プロセスシミュレータを用いて対象のモデル化を行い,前年度に開発したハイブリッドモデルによる熱交換器内よごれの推算結果を検証することが出来た.この成果については,2017年5月に開催予定の国際会議に投稿し,招待セッションの講演の一件として採択された.
|
今後の研究の推進方策 |
加熱限としてオイルなどを用いるリボイラ-を対象として,伝熱配管内のシェル側および管側の清浄時のモデルを物理モデルとデータ駆動型モデルのハイブリッドモデルとして構築し,管内の汚れの程度を推定する指標を推定できる手法を開発し,水蒸気加熱の場合と比較検証する.また,それぞれの推定値の安定性と精度を向上するための手法についても検討する.最後に3年間の研究の成果をまとめる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
成果の発表に関する費用が,当初の予定より若干少な目となっているが,これは,発表の内の1件が招待講演となったことが理由である.他の項目については,高い精度で当初計画通りの使用額となっている.
|
次年度使用額の使用計画 |
額も少額であり,これまでの成果も順調に上がっていることより,当初計画より1件程度,成果発表の機会を増やす予定である.
|