研究課題/領域番号 |
15K06560
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
小廣 和哉 高知工科大学, 工学部, 教授 (60170370)
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研究分担者 |
大谷 政孝 高知工科大学, 工学部, 助教 (20585004)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中空多孔質粒子 / ナノ粒子集合体 |
研究実績の概要 |
1.メタノールを反応媒体とするソルボサーマル法による,テンプレートを全く用いない,TiO2ナノ粒子多孔質球状中空集合体合成法の合成条件を精査した。その結果,単工程一段階反応で中空集合体を効率よく得るには,1) Ti源に用いるチタンテトライソプロポキシドの濃度が0.1 mol/Lであること,2) 加水分解を促進する酸触媒が0.5 mol/L以上であること,3) 反応温度が300 ℃以上であることが必要不可欠であることを明らかにした。 2.ソルボサーマル法によるチタンテトライソプロポキシドからのTiO2ナノ粒子多孔質球状中空集合体の合成時に、Al、Si、Znのアルコキシドや塩を反応前駆体溶液に含めることにより,中空球状多孔質のAl2O3/TiO2,SiO2/TiO2,およびZnO/TiO2ナノ粒子集合体を得ることに成功した。反応前駆体溶液中のTiと(Al、Si、Zn)の比率を変えることにより、異なる元素組成を持つ金属酸化物混合ナノ粒子多孔質球状中空集合体を得た。得られたAl2O3/TiO2ナノ粒子多孔質球状中空集合体をKOHで処理することによりAl2O3部分が溶出し、中空粒子の内と外を結ぶメソ孔が拡大された拡大メソポーラス中空ナノ粒子を得た。さらに、アルコキシシランの代わりに有機基を有するシランカップリング剤を反応用いることにより球状多孔質ナノ粒子を化学修飾した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画では,1)中空多孔質ナノ粒子合成,2)拡大メソポーラス中空ナノ粒子合成,3)拡大メソポアの開閉,の3項目を挙げた。 1)に関しては,TiO2ナノ粒子多孔質球状中空集合体合成法の反応条件を詳細に検討した結果,多孔質球状中空集合体生成には,用いるチタンテトライソプロポキシドの濃度(0.1 mol/L),加水分解を促進する酸触媒とチタンテトライソプロポキシドの濃度比が5以上であること,反応温度が300 ℃を超えることが必要不可欠であることを明らかにした。用いるチタンテトライソプロポキシドの濃度を低くすれば,小さな球状中空粒子集合体を得ることができたが,収率が低下した。酸触媒として働くカルボン酸の濃度を高めることで,収率改善に成功した。 2)に関しては,Al、Si、Znのアルコキシドや塩を前駆体溶液に混ぜることにより,中空球状多孔質形状を保ったまま,Al2O3/TiO2,SiO2/TiO2,ZnO/TiO2ナノ粒子集合体が得られることを見出した。Al2O3/TiO2ナノ粒子多孔質球状中空集合体の場合には,これらを塩基性のKOH水溶液で処理することによりAl2O3を溶出し,メソ孔を拡大することに成功している。 3)に関しては,種々のシランカップリング剤を用い,官能基を含む置換基導入を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の三つの計画1)中空多孔質ナノ粒子合成,2)拡大メソポーラス中空ナノ粒子合成,3)拡大メソポアの開閉のうち,1)および2)はほぼ達成した。3)の拡大メソポアの開閉に関しては,アルキル置換基の無いテトラエトキシシランによるSiO2/TiO2複合化手法を確立し,Si/Ti比を自由に変化させることに成功している。現在,開閉機能を持たせるための土台となる多孔質球状中空集合体合の表面官能基化を試みているが,シランカップリング剤による官能基化置換基の導入率が数パーセントに留まっている。そこで,反応容易なテトラエトキシシランとともに官能基化置換基を有するシリルカップリング剤を使用することにより,両者の相乗効果により官能基化置換基の導入率を改善する予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
計画時予定していた示差熱・熱重量同時測定装置が別予算により本学に導入されたため,新たに購入する必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
SUS316反応管購入,ガラス器具購入,試薬購入,旅費に使う予定である。
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