研究課題
平成27年度および28年度における検討において以下の点が明らかになった.(1) Ni触媒表面には,反応性の異なる炭素種が生成する.1つがフィラメント状(ウイスカー状)炭素種でTEM観察の結果Niナノ粒子表面に生成したMWCNT(Multi-Walled Carbon Nano Tube)であり,反応温度域でCO2と容易に反応する.一方,同時に反応性が低いアモルファス炭素種が生成する.(2) 活性劣化が少ないNi触媒(Ce添加やMgO担持触媒)上では反応性の低いアモルファル炭素種が生成し難い.以上の成果を基に,ドライリフォーミング雰囲気での反応,CO2処理を繰返し,炭素種の蓄積・除去挙動を詳細に検討した.加えて反応速度式を実験的に求め,ドライリフォーミングの反応機構およびNi表面上での炭素種の動的変化を検討した.ドライリフォーミング条件で炭素種が蓄積し,CO2雰囲気にステップ的に切替えることで,生成した炭素種が除去される.ドライリフォーミング条件下で蓄積した炭素種全量がCO2雰囲気に切り替えたときに消失せず,一定量の除去できない炭素種が残存する.CO2処理後にはアモルファス炭素種のみが残存していることがわかった.ドライリフォーミングの速度解析から,反応速度式は,メタン分圧に1次,生成物であるCOの分圧に-1次である.律速段階は,メタンの脱水素過程か,生成した反応中間体の炭素種と酸素種との表面反応であると考えられる.パルス反応で,反応条件下でメタンは,完全に炭素と水素に分解すること,CO2はNi上で解離吸着しCOと酸素種を生成することがわかっている.活性劣化をもたらす炭素質の生成は,メタンからの脱水素後のプロセスにある.反応中間体である活性な炭素種から不活性な炭素種に変換されるプロセスをコントロールすることが重要である.
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