研究課題
麹菌は、醤油、味噌、日本酒や焼酎といった日本古来の発酵・醸造食品の製造に用いられる微生物である。また黒麹カビ(Aspergillus niger)は、泡盛の醸造だけでなく、クエン酸を発酵によって生成する。世界で生産されるクエン酸は、ほぼ黒麹カビのクエン酸の工業発酵法により生産されている。当研究室では高電圧パルス(PEF)を用いた研究をしており、黒麹カビにPEF印加を行なうことで、黒麹カビの増殖とクエン酸生成の促進を試みた。A. nigerをグルコースの炭素源で培養するとき、PEF印加を施すと菌体重量通常の1.2倍ほど増加した。最適な印加条件は、植菌から8時間後に電界強度10 kV/cmを一分間行なうことだった。A. nigerにおけるクエン酸の生成に適した炭素源はグルコースだった。PEFの印加により、A. nigerのクエン酸生成速度を早めることができた。A. nigerのクエン酸生成に適したグルコース濃度は10~25 g/Lだった。炭素源を数回に分けて与える流加培養を行なうことで、回分培養よりも多くのクエン酸を生成できた。(Control-回分培養:21.75 g/L、流加培養:27.80 g/L、PEF-回分培養:18.30 g/L、流加培養:26.87 g/L)流加培養においてもPEFによるクエン酸生成速度の促進が可能であった。(Control:0.96 g/(L・Day)、PEF:1.68 g/(L・Day))。流加培養とPEF印加を組み合わせることでクエン酸の生成期間をControlの57%に短縮できた。よってA. nigerにPEF印加を行なうことで、菌体重量の増加効果が得られ、クエン酸生成速度を高めることができた。また回分培養ではなく流加培養で培養することで、クエン酸生成量が増加し、クエン酸生成速度を更に高めることが可能であった。
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