研究課題/領域番号 |
15K06584
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
森本 兼司 香川大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90363184)
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研究分担者 |
高田 悟郎 香川大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50322722)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 希少糖 / D-プシコース / D-アロース / 一括生産 |
研究実績の概要 |
NN-6株が有する2種の酵素、D-プシコース3-エピメラーゼおよびL-ラムノースイソメラーゼの発現に最適な培養条件および固定化酵素の条件について検討した。L-ラムノースを含む酵母エキス培地で培養すると両酵素が発現され、D-プシコース3-エピメラーゼの発現に必要だと考えていた高価なD-プシコースを培養に用いる必要がなくなった。このことは生産コストの軽減に繋がる成果である。固定化酵素の樹脂はHPA25Lが最適であった。これを用いてD-フルクトースを基質として反応させたところ、D-プシコースおよびD-アロースが生産された。D-プシコース3-エピメラーゼ遺伝子をクローニングを試みた。本株はゲノムデータが公開されており、本遺伝子と類似する候補タンパクが6種存在した。これまでに1つをクローニングしたが活性が認められず、現在2つめをクローニング中である。 異性化反応であるがゆえの欠点を解決するべく反応液中からの生産物を分離する技術の開発を試みた。当初に計画していたイオン液体をを用いる方法はうまくいかず、ホウ酸ゲルと単糖との結合を利用した分離方法を考案した。これにより反応液を脱塩せずとも分離できることがわかった。すなわち、反応液から希少糖を直接分離することが可能となり、反応と分離を一括して実施できる可能性が示唆された。 NN-6 株よりも優れたD-プシコース3-エピメラーゼおよびL-ラムノースイソメラーゼを有する微生物を探索し、これまでにD-プシコース3-エピメラーゼ活性を有する微生物を2種獲得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NN-6株由来の酵素による希少糖の生産については計画通りに進んでいるが、関連遺伝子のクローニングが遅れている。一括生産の鍵となる反応液からの希少糖の分離についてはアプローチの仕方を変えて順調に進んでいる。微生物のスクリーニングについては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
希少糖の生産については高濃度の基質で反応可能かを試みる。現在の条件では副産物としてD-グルコースが生じるのでこれを生じさせない条件も併せて探る。 遺伝子のクローニングについてはD-プシコース3-エピメラーゼ遺伝子を早々に終え、諸性質を検討する。L-ラムノースイソメラーゼについてはD-プシコース3-エピメラーゼ遺伝子の後に着手する予定である。 ボロン酸ゲルによる生産物の分離の条件を最適化し、酵素反応の速度と分離の速度のバランスを調整し、これらの工程が連結させることが可能かを探る。 スクリーニングで得られた微生物を同定し、D-プシコース3-エピメラーゼを精製し、諸性質を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた手法が不可能であることが分かり、手法を変更した。そのため計画時の装置の購入を中止した。
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次年度使用額の使用計画 |
手法変更に伴い、新たな実験装置を検討中である。なお、一式型ではなく工程ごとの装置を組み合わせる方向で検討しており、高額な装置にはならない予定である。
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