研究課題/領域番号 |
15K06593
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
桐生 高明 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主任 (20416308)
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研究分担者 |
村上 洋 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 生物・生活材料研究部, 研究室長 (10416307)
木曽 太郎 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主任 (90416313)
大橋 博之 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (10826184)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | セルロース / グルカル酸 / 糖酸化反応 / β-グルコシダーゼ |
研究実績の概要 |
(セロビオースの酸化反応によるセロビオン酸の生成)昨年、Paraconiothryum属微生物の培養液から硫安沈殿によりセロビオース酸化酵素(カーボハイドレート:アクセプター オキシドレダクダーゼ)液を調製した。本液とセロビオースを混合し、昨年決定したセロビオース酸化に適した反応条件下で酸化反応を行った。その結果、本酵素液が従来と同様にセロビオースを効率的に酸化できることを確認した。また、本反応でセロビオン酸を調製し、以下のβ-グルクロニダーゼによるセロビオン酸分解の解析実験に供した。 (セロビオースの酸化酵素の酵母での発現)発現ベクターに全塩基配列を決定したParaconiothryum属微生物由来のセロビオース酸化酵素遺伝子を組み込んだ。これを大腸菌に形質転換し、発現ベクターを増幅させた。本ベクターを酵母に形質転換し、形質転換体を獲た。 (β-グルクロニダーゼによるセロビオン酸の分解)ペニシリウム属由来の市販酵素剤から部分精製したセロビオン酸分解活性を示すβ-グルクロニダーゼを用い、セロビオン酸の加水分解反応を行った。本酵素はセロビオン酸を分解するものの、反応が途中で停止してしまい、セロビオン酸を完全に加水分解できないことがわかった。基質濃度の低下、pH変更、反応途中での酵素の追加などの加水分解条件を変えて、セロビオン酸の完全分解を試みたが、セロビオン酸を完全分解することはできなかった。一方、化学反応でのセロビオン酸分解を試みたところ、基質溶液に等量の2 M塩酸を加え、1時間煮沸することで、セロビオン酸を完全に加水分解できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたβーグルコシダーゼによるセロビオン酸加水分解反応が途中で停止し、セロビオン酸を完全に加水分解するのが困難であることが解った。当初の目的である『セロビオン酸加水分解』を達成するために、それを代替する手法の開発を行う必要が生じ、進捗状況に遅れが生じた。しかし、代替法の検索の結果、酸分解でセロビオン酸を完全に分解できることを明らかにした。本手法を用いれば来年度には当初の目標の達成が可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
既に酸加水分解により、セロビオン酸の完全分解が可能であることが解っている。今後、酸加水分解の最適条件を決定する。 酸加水分解の条件が決定すれば、”セロビオースの酸化によるセロビオン酸の調製”、”セロビオン酸の加水分解”、”加水分解により生成したグルコースの酸化”という一連反応条件の全てが決定する。決定した条件を元に、セロビオースからグルコン酸の生成という一連の反応を連続的に行い、目的とする反応系の確立を目指す。 セロビオン酸の酸加水分解反応の検討と同時に、βーグルコシダーゼによるセロビオン酸の分解反応が途中で停止する理由の解明を目指す。現在のところ、セロビオン酸生成によるフィードバック阻害や、セロビオース分解により生成するD-グルコースによる阻害の可能性を想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、酵素を用いたセロビオン酸分解を行う予定であったが、酵素反応が途中で停止してしまい、別のセロビオン酸分解法を開発する必要があった。そのため、当初予定していたセロビオン酸分解の実証実験が次年度以降に繰越となったため。
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