航空機構造の形状を任意に変化させ、飛行性能や飛行特性を向上させる技術(モーフィング技術)が注目を集める中、揚力等による主要な荷重を伝達し、形状を保持しながらも自由な変形が求められるという、一見矛盾した構造を成立させるために、コルゲート型モーフィング構造に焦点をあて、モーフィング翼の開発に必要な設計解析手法に関する研究を実施した。翼の後縁部分がシームレスに自在変形可能な可変キャンバーモーフィング翼構造を対象とし、コルゲート構造を有するモーフィング翼構造の空力・構造連成解析による簡易設計手法の確立を実施した。 モーフィング翼は空力荷重により形状が変化するため、構造解析と空力解析を連成させて解析する必要がある。解析時間の短縮化のため、空力と構造の簡易解析モデルとして、XFLR5と柔軟梁モデルを用い、連成させることで、モーフィング翼の変形形状を予測手法を構築した。その手法を用い、空力的に最適な形状および変形を実現するため、駆動機構を考慮したコルゲート構造について、構造パラメータ(コルゲート構造パラメータ)を変化させた場合の空力性能を指標として、モーフィング翼構造の最適化を行った。コルゲート構造パラメータを変化させることで、モーフィング翼構造の設計が可能であることを示した。最終年度においては、最適化したモーフィング翼構造の試作を行った。駆動試験を実施し、その変形評価を通じて、構築した設計解析手法の妥当性を検証した。
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