測位・観測・通信等の生活情報のための宇宙インフラや国際宇宙ステーションの維持と利用を図るために、これらに衝突して破壊する恐れのあるスペースデブリに関して、その観測、軌道進化、除去等の総合的対応に関する工学研究を推進した。 京都大学生存圏研究所の地上MUレーダ(Middle and Upper Atmosphere Radar)によるスペースデブリ観測を実施し、デブリの軌道推定精度向上のためのMUレーダ観測運用のための観測パラメタの検討を実施した。一方、軌道上の人工衛星に搭載した光学観測装置を想定した場合の軌道推定の精度について、検討を実施した。スペースデブリの形状推定については、MUレーダによる観測を実施し、回転するデブリから得られるドップラー情報を用いた時間周波数解析手法、および、レーダーエコー情報を用いた散乱断面積変動解析手法を用いることで、スペースデブリの大きさ、スピン状態、形状の推定に取り組んだ。また、計算機シミュレーションにより、MUレーダによるデブリ観測を検証するために、FDTD(Finite-Difference Time-Domain)手法によるプログラム開発を実施した。レーダー方程式等により、MUレーダによる静止軌道付近にあるデブリの観測可能性について検討を実施した。さらに、地球周辺電磁場の微小デブリの軌道に対する影響の評価を計算機シミュレーションにより実施し、破砕現象に起因するデブリの軌道進化についての検討を実施した。
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