研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,複数の安価なGNSS受信機を用いた超精密なGNSS測位アルゴリズム,およびGNSSジャイロを開発することである. このために,GNSS回帰モデルを用いて,(テーマ1)複数のGNSSアンテナ(Multiple GNSS Antennas)による,超精密単独測位(Very Precise Point Positioning: VPPP)アルゴリズムの確立と,同時に(テーマ2)複数アンテナを活用する,GNSSジャイロ理論(すなわちアンテナ間の基線ベクトルを精密に推定し,オイラー角である,ヨー, ピッチ, ロール角を高精度に推定する理論)の確立と具体的な計算処理アルゴリズムの開発を行うことにある. (テーマ1)に関しては,GNSS測位データの衛星間,受信機間の2重差をとることにより,ほとんどの誤差要因が消滅することから,新たな精密単独測位アルゴリズムを導出し,アンテナ間の距離が既知であるとの拘束条件を用いて,外部からの補正情報を全く必要としない超精密単独測位(VPPP)アルゴリズムを導出し,2重差の整数値バイアスをフィックスする新しい手法を用いることにより,1分間(60 epochs)の1周波のGPS測位データにより,RMS誤差は50cm以下となることを実データにより検証した.この研究成果は,2017年9月に開催されたION GNSS+ 2017で発表を行った.また,MADOKA,CLASなどによる補正情報を用いることにより,10㎝以下の測位精度の達成を検証中である. また(テーマ2)については,(テーマ1)の研究成果と,従来のGNSSジャイロ理論で用いられているオイラー角を求めるために,最小二乗法を適用することにより,従来の決定論的手法による結果を大幅に改善することができた.また,自動車の動きのモデルについて,拡張Singerモデルを導出した.
|