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2016 年度 実施状況報告書

極超音速希薄風洞を用いた火星希薄空力計測システムの構築及び凝縮による影響評価

研究課題

研究課題/領域番号 15K06611
研究機関国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

研究代表者

小澤 宇志  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (70567544)

研究分担者 鈴木 俊之  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (20392839)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード航空宇宙工学 / 希薄風洞 / 数値解析 / 希薄気体力学 / DSMC / 極超音速流
研究実績の概要

本研究は,極超音速希薄風洞実験と粒子数値解析を行うことにより,極超音速希薄気体空力現象の観測手法の確立とともに,物質表面係数の計測手法・凝縮による影響評価手法の確立を目的とする.火星等の大気を想定した二酸化炭素環境下で極超音速希薄流れの気流検定手法を確立し,模型を用いた希薄空力計測と粒子数値解析の融合による手法を用いて物質表面係数の特定および凝縮による影響の評価を目指す.今年度の主な研究の成果を以下に示す.
1. 二酸化炭素ノズル流DSMC数値解析をもとにノズル部及びヒーター部について再設計し,二酸化炭素用ヒーター部を製作,希薄風洞に設置した.
2. 二酸化炭素極超音速希薄流においてピトー圧を計測し,気流検定を行った.(熱電対の制約上,安全にみてヒーター温度上限を600℃に設定し,非加熱環境からヒーター温度600℃の範囲にて二酸化炭素希薄気流検定を行った.)
3. DSMC(direct simulation Monte Carlo)数値解析結果と比較し,凝縮による影響を検証した. (DSMC数値解析ではCNT(Classical Nucleation Theory)法を用いた凝縮モデルを組み込み,ノズル流における凝縮による影響,凝縮がピトー圧に及ぼす影響を評価し,計測結果と比較した.結果として希薄風洞計測部におけるクラスター数密度は閾値以下であり,凝縮による影響は小さいことが判明した.すなわち,二酸化炭素低温・低圧領域では窒素希薄流と同様に過飽和領域が拡がっていることが判明した.また,CNTモデルではクラスターが過剰に生成されることが判明したため,今後低温低圧部における核生成モデルと凝縮における付着確率モデルの開発が必要である.)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度同様納品されたヒーターに初期不良が確認されたため,契約業者を変更して希薄風洞用CO2ヒーターを再設計し,ヒーターを製作したため予定よりも気流検定のスケジュールに遅れが生じた.
まず,熱電対の制約上,安全にみて600℃まで気流検定試験を行ったところ,ピトー圧分布は凝縮の影響を考慮しない場合の数値解析結果と一致した.数値解析ではクラスター数密度が閾値1E13 m-3以上であれば凝縮によるピトー圧上昇が確認されるため,希薄風洞二酸化炭素ノズル流ではクラスター数密度はこの閾値以下であることが確認された.つまり,CO2低温・低圧領域では窒素と同様に過飽和領域が拡がっていることが判明した.
今後の二酸化炭素希薄空力計測において,非加熱環境においても凝縮による影響は小さいことが予測されるため,表面係数の窒素と二酸化炭素の比較による気流組成依存性および物質依存性を評価する.

今後の研究の推進方策

1. ヒーター性能を発揮するため,高温用熱電対に変更し,より加熱された環境において気流検定を行う.
2. 従来のCNT(Classical Nucleation Theory)モデルでは閾値よりも高いクラスター数密度が予測されるため,低温低圧部における核生成モデルと凝縮における付着確率モデルの開発を行う.
2. 表面係数の窒素と二酸化炭素の比較による気流組成依存性を評価する.
3. 表面係数の二酸化炭素気流における物質依存性を評価し,表面モデルを開発する.

次年度使用額が生じた理由

端数として1円の残額が生じた.

次年度使用額の使用計画

特に無し.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Pitot Pressure Analyses in CO2 Condensing Rarefied Hypersonic Flows2016

    • 著者名/発表者名
      Ozawa, T., Suzuki, T., and Fujita, K.
    • 雑誌名

      AIP Conference Proceedings

      巻: 1786 ページ: 190010

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1063/1.4967688

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 超低高度衛星の希薄空力特性評価に向けた希薄風洞計測と数値解析2016

    • 著者名/発表者名
      小澤宇志,今村俊介,川崎春夫,鈴木俊之,藤田和央,佐々木雅範
    • 雑誌名

      宇宙航空研究開発機構特別資料

      巻: JAXA-SP-16-007 ページ: 167-171

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 超低高度衛星の希薄空力特性評価に向けた極超音速希薄風洞計測2016

    • 著者名/発表者名
      小澤宇志,今村俊介,川崎春夫,藤田和央,佐々木雅範
    • 学会等名
      第60回宇宙科学技術連合講演会
    • 発表場所
      北海道函館市
    • 年月日
      2016-09-06 – 2016-09-09
  • [学会発表] Pitot Pressure Analyses in CO2 Condensing Rarefied Hypersonic Flows2016

    • 著者名/発表者名
      Ozawa, T., Suzuki, T., and Fujita, K.
    • 学会等名
      30th International Symposium on Rarefied Gas Dynamics 2016
    • 発表場所
      Victoria, Canada
    • 年月日
      2016-07-10 – 2016-07-15
    • 国際学会
  • [学会発表] 超低高度衛星の希薄空力特性評価に向けた希薄風洞計測と数値解析2016

    • 著者名/発表者名
      小澤宇志,今村俊介,川崎春夫,鈴木俊之,藤田和央,佐々木雅範
    • 学会等名
      第48回流体力学講演会/第34回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム
    • 発表場所
      石川県金沢市
    • 年月日
      2016-07-06 – 2016-07-08

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公開日: 2018-01-16  

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