研究課題/領域番号 |
15K06615
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
地引 達弘 東京海洋大学, その他部局等, 教授 (40322094)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 環境対応型潤滑油 / 潤滑油 / トライボロジー |
研究実績の概要 |
1)3ピンオンディスク摩擦摩耗試験装置の整備を行い、実験体制を整えた。 2)まず、海水劣化条件下での摩耗試験の予備試験を行った。EALの種類は、代表的な2種(BP/CASTROL、KEMEL、(JX)VICKERS、MOBILの4種から2種を選択)から、エステル系1種類、非エステル系1種類を選択し、比較用に従来の潤滑油(鉱油)の3種類を選択した。試験片は、ピン側試験片にはプロペラ軸材(軸材を想定)を、ディスク側試験片にはホワイトメタル2種(軸受材を想定)とした。試験手順は、面圧Pを一定(8.75MPa)とし、摺動速度を一定(690mm/s)とし、潤滑油温度を60℃に温度制御した状態で、1回当たり6リットルの試験油を用いて、4Hrの摩擦試験を行い、その時の摩擦力を計測し、摩擦係数を求め、3種類の試験油を比較した。 3)海水混入の影響については、易生分解性油は28日(4週間)で60%完了することから、その影響を調べるため、およそ2週間ごとに16週目まで追跡し、摩擦係数が悪化するかどうかを調べた。その結果、3種類の試験油ともに、特に摩擦係数の悪化は認められたなかった。この理由としては、潤滑油タンクにおいて海水が充分に攪拌されず、セットリングした状態の潤滑油が試験油に供給する方式であったため、生分解の影響や海水混入の影響が現れなかったものと考えられた。このことは、海水が潤滑油に混入しても、セットリングを充分に行えば、その影響を極力排除することが可能であることを意味しているものと考えられた。 4)これらの結果をまとめ、公益社団法人日本マリンエンジニアリング学会(富山)で学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)EALの海水混入によるトライボロジー特性の影響を調べ、充分にセットリングした潤滑油を摺動部に供給すれば、直ちに摩擦特性が悪化する可能性はないものと考えられた。 2)しかしながら、海水混入し、充分に攪拌された状態の摩擦特性を調査することはやはり重要と考えられるため、試験方法を改良して、更なる実験を継続する予定である。具体的には、面圧を同じままで試験荷重を上げ、ピン試験片の接触面積を上げることによる精度の向上、海水混入した潤滑油を強制的に攪拌させて摩擦特性への影響を引き続き比較・調査する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)試験条件を変化させ、ストライベック線図上にプロットすることにより、海水劣化による潤滑油のトライボロジー特性が悪化するか否かを中心に調査する。具体的には、面圧P、および、潤滑油温度Tを一定とし、摺動速度vを段階的に下げて、摩擦係数が上昇し始める軸受定数を実験的に明らかにする。 2)他のEALについても、同様に海水劣化条件下でのトライボロジー特性が悪化するか否かを比較・調査する。 3)得られた結果をまとめ、公益社団法人 日本マリンエンジニアリング学会の学術講演会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)下記1)2)の計画に沿って研究を遂行するため。
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次年度使用額の使用計画 |
1)試験製作費は材料費150千円、機械加工費用、30セット×5千円=150千円を予定している。潤滑油の購入費は1種類あたり60千円×2種類=120千円を予定している。 2)成果発表のための旅費として、60千円を予定している。
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