研究課題/領域番号 |
15K06627
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
山田 安平 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (90443241)
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研究分担者 |
田中 義照 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (40373419)
小沢 匠 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80711332)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コンテナ船 / 最終強度 / 動的応答 / 共振 / whipping / slamming / 構造信頼性 |
研究実績の概要 |
(1)箱型鋼製模型の4点曲げ実験結果について、非線形FEMを用いて、詳細析検証を行った。その結果、治具と模型の摩擦影響が崩壊荷重に与える影響があることが分かり、詳細な感度解析等を行い、実験時の摩擦係数を同定した。得られた知見を国際学会で発表を行った。理論の検証のためには、実験による検証が重要であるが、当初焦点としていない詳細な実験条件が実験結果に影響を及ぼすことがある。4点曲げ模型実験において、摩擦係数が結果に大きな影響を与えることが分かり、
(2)動的応答現象解明:構造信頼性解析に適用するためのコンテナ船の変断面梁モデルを検討している。梁モデル用いて、船首部にスラミング衝撃荷重を与えるシリーズ解析を行い、動的応答現象の解明を行った。境界条件として、固定端モデル、支持端モデル、海水バネ・重力モデル等複数のモデル化を検討した結果、海水バネ・重力モデルが最も実船に近い結果を与えることが分かり採用することとした。当該モデルを用いて、荷重を一定として、荷重周期の影響を考察した結果、固有周期に近い荷重による共振現象を確認すると共に、荷重周期が大きくなっていくと、準静的荷重に漸近していくことを確認した。得られた知見を2017年6月の国際学会で発表する予定である。また、コンテナ船の全船モデルを用いた同的解析を実施中であり、簡易梁モデル、詳細モデル、簡易解析手法(Smith法)による比較検証を行う。
(3)コンテナ重量不確定性・構造信頼性:コンテナ重量の統計解析を実施した。コンテナの実重量については、計測していないことから、申告重量のみで解析実施。40feet及び20feetコンテナそれぞれについて、コンテナ重量分布モデルを構築した。構造信頼性システムのプロトタイプを構築した。(2)の梁モデル及び波浪等の確率モデルを統合する予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)模型実験による妥当性検証:模型実験の解析検証も終了し、非線形FEM及びSmith法の比較検証も終了し、順調に推移している。鋼材価格及び工賃高騰により、コンテナ船の追加実験は実施せず、非線形FEMによりメカニズムの解明を行う。
(2)動的応答現象解明・船体梁モデル:変断面梁モデルを用いて、動的現象の場合に、荷重周期が応答に与える影響が明らかになり、順調に推移している。今後は、全船モデルにより、梁モデルの妥当性を検証し、その後は、梁モデルを用いて、構造信頼性を考慮したシリーズ解析を実施する。 (3)コンテナ重量不確定性・構造信頼性:コンテナ船の実データを入手し解析済みであり、順調に推移している。(1)(2)を重点的に実施している。
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今後の研究の推進方策 |
コンテナ船の動的応答について、変断面梁モデルによって、荷重周期によって共振現象等が生ずることが解析により明らかにすることができた。変断面梁モデルを用いれば、構造信頼性等の確率論的手法に適用が可能である。今後は、変断面梁モデルによる更なるシリーズ解析を実施すると共に、全船モデルを用いた動的応答解析により、変断面梁モデルとの比較検証を行っておく必要がある。また、コンテナ船の全船モデルを作成し、試解析が終了した。Smith法の検証解析に用いる他、コンテナ船の動的応答について、全船モデルについても実施し、変断面梁モデルと全船モデルでの応答の比較を実施する。最終年度は、これまで構築してきた各コンポーネントを構造信頼性モデルに統合して、確率論的評価を実施していく。コンテナ船の重量データについて、規則改正を踏まえ、更なるデータベース拡充を行っていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
模型実験の実施が遅れていることにより、当該助成金の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、主に、模型製作、非線形構造解析のアプリケーション費用、コンテナ船全船モデルの修正費用、学会発表旅費等に使用する予定である。
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