研究課題/領域番号 |
15K06641
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐藤 晃 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40305008)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地熱開発 / 地熱貯留層 / 水-蒸気2相流 / 相変換 |
研究実績の概要 |
本研究では、再生可能エネルギーとして最も有望視されている地熱資源開発に必要な岩盤内での熱水流動現象ならびに地熱貯留層内でのフラクチャーネットワークを、マイクロフォーカスおよび産業用X線CT法を組み合わせたハイブリットCT法を用いて、マクロ・ミクロスケールでin-situ 評価する新たな方法を確立することを目指す。さらに、不均質な岩盤内での熱水流動、とりわけ高温高圧下における熱水―蒸気の2相流問題を有限体積法を用いてシミュレートし、地熱資源開発の有効利用と持続可能なエネルギー資源の利用方法を確立する事を目的として研究を実施した。 研究初年度に於いては、有限体積法を用いた地熱貯留層モデルの構築とシミュレーション法の開発を主な目的として研究を実施した。ここでは多孔質体を想定した地熱貯留層を模試し、モデル内での水-水蒸気の2相流の解析を実施するものである。その結果、地下熱源から供給される熱量が一定の場合について、貯留層への地下水の流入速度と貯留層内の気液2相状態を比較した結果、ある一定時間経過後、貯留層内の気液状態は一定の割合で収束することが分かった。また、その値も流入量が大きいほど液相が多い結果が得られた。同様に貯留層内の温度分布についても同様に解析を実施した。その他、熱供給量を変化させた場合などについても、解析を実施した。しかし、計算コードがまだ完全ではなく、貯留層内の圧力を変化させた場合、初期温度を変化させた場合など、今後改良すべき点も明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のキーである有限体積法による2相流シミュレーション法について、地熱貯留層への適用に関して基礎的な知見を得ることができた。初年度、研究を実施する中で新たな課題が見つかったが、逐次解決しつつ研究を実施している。よって、概ね当初予定したとおりに研究が進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究で、有限体積法によるシミュレーションコードにいくつかの課題が見つかった。今後は、それらを解決しつつ、より実現象に近い条件での解析を実施していく予定である。また、本研究では地熱貯留層単位モデルというモデルを用いて開発を行っている。これは、貯留層全体を一度に計算するのではなく、要素毎に計算し、その要素を組み合わせることによって貯留層全体の様子を表現する方法である。初年度実施してきた基本的事項を積み上げた上で、井戸元での温度変化や圧力変化の原因が、貯留層内のどのような物理量の変化によるものなのかを特定する一連の手法を確立していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度はほぼ計画通りに研究を実施したが、設計・発注済みの物品の納入時期の関係から次年度使用額が生じた。ただ、その金額も全予算額の約 6%であり研究の遂行に問題ははい。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の通り、既に発注済みの物品の納期が4月以降にずれ込んだためで有り、年度開始以降にすぐに解消する予定である。
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