研究課題
前年度に引き続きダイバーターなどに用いられるタングステン光学応答を調べた。核融合においてファズ構造はプラズマの安定性を妨げる要因となる。しかし、多孔質体という構造の特徴から電磁波吸収材としての利用が見込めるため、新素材として注目されている。ファズ構造はその複雑な形状ゆえに理論的な評価が困難である。ゆえに、ファズ構造の幾何学構造によるモデル化を行った。先行研究により、ファズ構造のフラクタル次元は2.3~2.6 であることが分かっている。ファズ構造に近いフラクタル構造にピラミッドとメンガーのスポンジがあり、それぞれのフラクタル次元は2.32 と2.73 である。本年度は、それぞれのフラクタル構造に電磁波を照射し、その光学特性を数値シミュレーションにより評価し、ファズ構造との違いを調べた。本研究ではFinite-difference time-domain(FDTD)法を用いて過渡現象を再現した。ナノスケールでは金属中でのジュール損失を無視することはできないため、Drude-Lorentzモデルを用いた。ピラミッドとメンガーのスポンジに電磁波を照射した場合の電磁波分布などを計算により求めることができた。これより、ピラミッドでは奥深くまで電磁波が侵入していることが分かった。一方、メンガーのスポンジでは殆どが表面で反射され、奥深くまで侵入する電磁波の割合が少ないことが分った。つまり、ピラミッドはファズ構造と同様に高い吸収率を示すが、メンガーのスポンジの吸収率は高くない。以上より、フラクタル次元による分類だけでは、吸収率の評価には不十分で、電磁波の入射角度と垂直な表面積による分類も必要であることを見つけた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
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