研究実績の概要 |
国際熱核融合実験炉ITER(及びそれ以降のDEMO炉)で想定されている標準的な運転モードでは、プラズマ周辺部において発生する大振幅のELM(Type-I ELM)によるダイバータ板の損耗が懸念されている。本研究では、炉心級プラズマの低衝突頻度領域においても実現可能な高性能でかつType-I ELM無しでも定常性を有する代替え運転モードを新しく開発するために、これまでに世界各国で得られているI-mode, QH-mode, Grassy/Type-II ELMsについて、その発生機構の物理解明を総合的に実施している。 本研究で特に注目する点は、粒子輸送を増加させつつ熱輸送を低減できる運転モードの開発であり、これにはプラズマ周辺部における径電場構造の変化と乱流揺動特性との相関の物理解明が重要であると考えられる。そこで、JT-60Uにおける高分解能での周辺径電場計測結果をもとに、閉じ込め改善モード(ELMの無いHモード)の発生に重要な径電場構造について、境界輸送障壁形成に対する径電場構造の非一様性効果を理論モデルに基づいて比較検証した。その結果、イオン及び電子の熱輸送と粒子輸送のそれぞれに影響する複数の乱流揺動の存在が示唆された。 本研究結果は、英国で開催された第44回プラズマ物理に関する欧州物理学会(EPS-PPD)での招待講演及びプラズマ核融合学会でポスター発表すると共に、NF及びPPCF誌に掲載された。
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