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2016 年度 実施状況報告書

放射線誘起ナノ微細加工における電荷非局在性の影響

研究課題

研究課題/領域番号 15K06662
研究機関北海道大学

研究代表者

岡本 一将  北海道大学, 工学研究院, 助教 (10437353)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード放射線化学 / レジスト / パルスラジオリシス / 電子線 / 芳香族分子 / ΠーΠ相互作用 / 放射線、X線、粒子線 / 半導体超微細化
研究実績の概要

近年極端紫外線(EUV)を用いたリソグラフィ技術は、次世代の半導体量産プロセスの微細化において最も有望なものとなっている。加工に用いられるレジスト材料中では、EUVの露光による電離(イオン化)によって、放射線化学反応が誘起される。そして、反応が起きていない部分との現像液に対する溶解性の差異によって、微細構造形成が行われる。リソグラフィの微細化に伴い、要求される10ナノメートルスケールの加工の実現に向け、分子サイズで引き起こされる電荷のダイナミクスは未だ明らかにされておらず、その解明は重要な課題である。本研究では、電子線パルスラジオリシス法による過渡吸収分光法により、芳香環間のΠーΠ相互作用に基づく正電荷の非局在性を直接観察できることに着目し、レジストのEUVや電子線等の電離放射線を露光源するリソグラフィにおける、レジスト性能の向上ならびにその本質について明らかにすることが目的である。本年度は以下の研究を遂行した。
1.芳香環を有するスルホン化合物を化学増幅型レジストに添加することより、そのナノサイズの加工性能への影響を調べ、さらにパルスラジオリシス法を用いることによってスルホンの添加によって引き起こされる反応機構について調べた。レジスト分子とスルホンのΠーΠ相互作用がレジスト内の分子配向に影響を与えていることが明らかとなった。
2.有機無機ハイブリッドの一種であるポリスチレン―シリカゲルハイブリッドのポリスチレン鎖中での正電荷の非局在性について調べ、光酸発生剤添加による影響について明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度は、電子線パルスラジオリシス法によりポリスチレン誘導体やレジスト添加剤である芳香族化合物内・間に働くΠ―Π相互作用による正電荷の非局在化について調べるとともに、実際の化学増幅型レジストに対する電子線リソグラフィによるパターニングへの影響についても研究を開始し、感度、解像度、ラフネスといったレジストの基本性能との関連性を明らかにすることが可能となった。しかし、本年度行う予定であったピコ秒パルスラジオリシスの実施は、装置の改良が必要であったため、次年度に行うこととなった。ただし全体的には本研究は順調に推移していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は更にスルホン系をはじめとする芳香族系分子の正電荷のダイナミクスや放射線誘起反応機構を明らかにし、レジスト性能の向上に繋げていく。また、ピコ秒時間領域の高速ダイナミクスについて、ピコ秒パルスラジオリシス法を用いて明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

大阪大学での実験に必要な旅費は格安航空の利用を積極的に行い減額を行ったこと、また研究協力者の旅行の回数が当初の予定より少なかったことが考えられる。

次年度使用額の使用計画

海外での成果発表ならびに実験のための旅費、試薬やレジスト材料、基板等の消耗品の購入、論文の英語校閲、オープンアクセスのための投稿費用に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Dynamics of radical cations of poly(4-hydroxystyrene) in the presence and absence of triphenylsulfonium triflate as determined by pulse radiolysis of its highly concentrated solution2016

    • 著者名/発表者名
      Kazumasa Okamoto, Takuya Ishida, Hiroki Yamamoto, Takahiro Kozawa, Ryoko Fujiyoshi, Kikuo Umegaki
    • 雑誌名

      Chemical Physics Letters

      巻: 657 ページ: 44,48

    • DOI

      10.1016/j.cplett.2016.05.058

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 化学増幅型レジストへのスルホン化合物の添加効果2017

    • 著者名/発表者名
      岡本 一将, 藤井 槙哉, 山本 洋揮, 古澤 孝弘, 井谷 俊郎
    • 学会等名
      第64回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2017-03-14 – 2017-03-17
  • [学会発表] Sensitivity enhancement of chemically amplified EUV by adding acid generation promoters2016

    • 著者名/発表者名
      Shinya Fujii, Kazumasa Okamoto, Hiroki Yamamoto, Takahiro Kozawa, Toshiro Itani
    • 学会等名
      29th International Microprocesses and Nanotechnology Conference (MNC2016)
    • 発表場所
      ANA Crowne Plaza Kyoto (京都府・京都市)
    • 年月日
      2016-11-08 – 2016-11-11
    • 国際学会
  • [学会発表] ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルベンゼンのラジカルイオンのダ イナミクス2016

    • 著者名/発表者名
      岡本一将、野村直矢、山本洋揮、藤吉亮子、梅垣菊男
    • 学会等名
      第59回放射線化学討論会
    • 発表場所
      量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所(群馬県・高崎市)
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-22
  • [学会発表] 添加剤を用いた酸生成促進によるEUV 用化学増幅型レジストの感度向上2016

    • 著者名/発表者名
      藤井槙哉、岡本一将、山本洋揮、古澤孝弘、井谷俊郎
    • 学会等名
      第59回放射線化学討論会
    • 発表場所
      量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所(群馬県・高崎市)
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-22
  • [備考] 量子ビーム応用医工学研究室ホームページ

    • URL

      http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/qsre/QSciEngjp/

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公開日: 2018-01-16  

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