研究課題/領域番号 |
15K06678
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
大久保 猛 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 主幹研究員(定常) (40446456)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | イオンビーム / マイクロビーム / プロトンビーム / PBW / 小型化 |
研究実績の概要 |
水素イオンマイクロビームはその直進性を利用した直接描画技術proton beam writing(PBW)による三次元微細加工への応用が切望されている。本研究の全体構想は、PBW技術の普及を目的として、ビームの加速・集束を同時に行う加速レンズによって、三次元微細加工用MeV級小型イオンマイクロビーム装置を開発することである。その中で、現在使用している正水素イオンビームのエネルギー幅の大きさが色収差に寄与しておりビーム集束の妨げとなっている。本研究では、実証機である300keV小型イオンマイクロビーム装置を用いて、色収差を低減してビーム径を縮小化することを目的とし、正水素イオンよりもエネルギー幅の小さい負水素イオン源を開発して負水素イオンのマイクロビームを形成する。 平成28年度は、まず、高電圧電源体系を従来の正イオン用から負イオン用に再構築した。その中で、本研究費により負イオン加速用の高電圧電源を購入した。また、300keV小型イオンマイクロビーム装置の最終段の加速レンズは正イオン加速用のため、負イオン加速のために極性が逆の電圧を印加すると放電耐性が弱くなることが考えられた。そこで、最終段加速レンズの負イオン加速電圧耐性を試験した結果、125kVを印加できることがわかった。これまでの正イオンマイクロビーム形成時の電圧は120kV程度であることから、本レンズ系が負イオンマイクロビーム形成に十分な放電耐性を有していることが確認できた。以上により、次年度の負イオンマイクロビーム形成の見通しが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画にあった負イオンマイクロビームの形成には至っていない。これは昨年度の本研究費の交付内定が半年間遅れて始まったことにより、昨年度末の時点で半年分の遅れが生じたためである。しかしながら、実験体系は既に完成しており、次年度早々にビーム形成実験を開始することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に構築した負イオン加速用実験体系を用いて負イオンマイクロビーム形成実験を早急に行い、イオン源や印加電圧等のパラメータ最適化を行う。その後、昨年度考案したイオン源のプラズマ中心軸ずらし手法による負イオンビーム電流の最大化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度本研究費の交付内定が半年間遅れて始まったことから、研究の進展が若干遅れており、当初計画では本年度に実施予定であった負イオンマイクロビーム形成実験に必要な物品等の購入及び成果発表旅費等を次年度に繰り越すため。
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次年度使用額の使用計画 |
負イオンマイクロビーム形成実験を早急に行い、そこで必要となる物品等を購入する。また、成果発表を活発に行うべく必要な旅費等や、論文発表の投稿料や英文校正料として使用する。
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