研究課題
第一に、九州地域を対象として構築した最適電源モデルを拡張することにより、九州地域の2050年までの最適な(環境制約下において最小コストでエネルギー需要を満足できる)エネルギー需給の具体像を導出する九州地域のエネルギーシステムモデルのプロトタイプ版を構築することができた。同モデルの計算結果から、太陽光や地熱といった再生可能エネルギーの果たす役割が大きい等、九州地域独自の特徴を見出すことができた。さらに、2050年までを対象期間とし、九州地域を対象とする経済モデル(一般均衡モデル)のプロトタイプ版を構築することができ、解釈可能な計算結果を得ることができた。また、これらのモデルで採用すべき、中長期的な人口・GDPといった社会経済シナリオについて、国際機関のシナリオデータの精査を行い、入力データセットを構築した。第二に、長崎市を対象として、環境負荷の小さい都市構造に変えていくような都市計画について分析を行った。そこでは、地球温暖化とともに、気象災害についても考慮の範疇に入れた分析を行った。さらに、これらの問題を、地域住民が安全にかかわる問題として認識することの重要性を指摘した。第三に、持続可能性を定量的に示す指標としてGenuine Savingsについて調査・分析を行い、気候変動の緩和が持続可能性にどれだけ貢献するかに関するモデル分析を行った。そして、当該指標を、前述の九州を対象とするエネルギーシステムモデル・経済モデルへの適用可能性について検討した。
2: おおむね順調に進展している
九州地域を対象とするエネルギーシステムモデルと経済モデルのプロトタイプ版を構築し、それらの前提条件となる社会・経済シナリオデータの収集を行うことができた。しかし、両モデルの相互リンクは未だ出来ておらず、両モデルを完成版とするためには更なる作業が必要である。理想的な都市計画の導出、持続可能性を定量的に示す的確な指標の提案についても確実な前進が見られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
第一に、九州地域を対象とするエネルギーシステムモデルと経済モデルの完成版を構築し、それらの相互リンクを行う。第二に、九州地域を対象として理想的な都市計画の導出を行う。第三に、持続可能性を定量的に示す的確な指標を確立する。
九州地域を対象とするエネルギーシステムモデル及び経済モデルの開発において、海外研究者からの指導・助言・データやファイル等の提供を見込んでいたが、それらの業務に要する費用(見積金額)は科研費で賄えないほど高いものであった。そのため、それらの業務に支出する予定であった金額は未使用とせざるを得なかった。現在、海外研究者と調整を行っており、科研費で賄える範囲の業務を次年度依頼し、支出することを予定している。
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