平成29年度においては,(1) 中温水取出しシステムの性能分析,(2) 運転条件最適化による性能分析を中心に実施した. (1) では,多機能化によって貯湯槽への温水の戻りが生じる場合には,システム性能の低下の原因となる温度中間層が増大するため,温度中間層を減少させるための方策の一つとして中温水取出しシステムを対象とし,数値解析によって性能分析を行い,中温水取出しがシステム性能の向上に及ぼす影響を明らかにした.(2) では,ヒートポンプ運転条件としての出湯温度および沸き上げ終了時入水温度がシステム性能に大きな影響を及ぼし,給湯需要量の日変化に対して適切に設定する必要があるため,これまでに構築してきたニューラルネットワークによる性能推定および最適化による運転条件決定の手法を適用し,上記の温度の日々適切な設定がシステム性能の向上に及ぼす影響を明らかにした.本研究においては,これまでCO2ヒートポンプの運転時間と給湯時間が重ならないような条件下における性能分析および最適化しか行ってこなかった.そこで,給湯時間にもCO2ヒートポンプを運転するような条件下においても性能分析が行えるようにモデルを拡張し,数値解析によって性能分析を行い,CO2ヒートポンプの運転時間の給湯時間へのシフトがシステム性能の向上に及ぼす影響を明らかにした.なお,研究実施計画で述べた実測データに基づく検討については,民間企業との協力関係を継続することができなかったため,実施することができなかった.
|