細胞分泌膜小胞であるエクソソームが介する神経細胞-グリア細胞間情報伝達機構に着目し、神経系エクソソームの神経変性疾患おける役割を、特にパーキンソン病などの主要原因遺伝子であるα-synucleinについてRpn1との関係性を中心に解析を行った。これまでに、この分子はエクソソームでのα-synucleinの発現を誘導する機能を生化学的に明らかにしていた。そこで、今年度はRpn1の標的であるα-synucleinとの相互作用をAlpha-Screenで解析した。その結果、主要な神経変性疾患原因分子であるAPP(アルツハイマー病などの主要原因分子)、tau(前頭側頭葉型認知症などの主要原因分子)、TDP-43(筋萎縮性側索硬化症主要原因分子)と比べてRpn1はα-synucleinと強固な相互作用を示した。また、生体内での効果をさらに精査する目的で、ショウジョウバエによる成体脳内での解析を行った。複眼特異的発現誘導の結果、少なくともRpn1協調因子RTL1トランスジェニックハエにおいて複眼の形成異常の表現型を示した。現在、目的の発現を示すα-synucleinのトリトランスジェニックハエを新たに創生した。そこで、現在、トリプルトランスジェニックハエ(α-synucleinおよびRpn1とRTL1)において、脳内でのα-synucleinの凝集体化の有無に付いて解析を行っている。また、パーキンソン病関連神経変性疾患の患者由来ゲノムからRpn1およびRTL1の全遺伝領域の変異の有無について次世代シークエンスで解析を行っている。
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