研究課題
オーファンGタンパク質共役型受容体(GPCR)は、生理活性物質をリガンドとするものが多く. 創薬の重要な標的タンパク質である。GPCRに含まれるGPR37は、ペプチドプロサポシンとそのフラグメントサポシンCによって活性化される。本研究では、サポシンに対して短い神経活性部分として模倣することができ、配列が高度に生物進化的に保存されているプロサプチドTX14を使用した。GPR37欠損マウスの初代神経細胞を用いた実験では、プロサプチド関与のシグナル伝達が低下したことから、GPR37の重要性が示唆された。自閉性障害の指標の一つであるマウス超音波障害について、母仔間に発せられる乳幼児期の音声の数は野生型と比較してややホモ型が多く、長音の割合が高かった。規則性については、乏しい傾向を示した。脳においてGPR37は主にドーパミン作動性神経細胞で高度に発現されており、一方、GPR37と相同性の高いGPR37L1はグリア細胞に多く発現する。GPR37と同様に、GPR37L1変異も自閉性障害候補遺伝子との複合体形成の異常が見られた。GPR37のように、脳機能に対するGPR37L1の重要性は、我々が見出した自閉性障害患者における点変異のみならず、Giddensらのグループ(2017)により変異を持つ患者に観察される難治性てんかんを含んだ重度の神経学的表現型からも導かれた。自閉性障害患者由来のGPR37L1点変異は、プロサプチド関与のシグナル伝達を妨げた。In vivoの脳の神経損傷後に強発現するプロサポシンの発現が、GPR37およびGPR37L1シグナルに対しどのくらいの影響を与え、またそれぞれが担っている役割やその違いについてのさらなる解明が望まれる。
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Brain Dev.
巻: 41 ページ: 195-200
10.1016/j.braindev.2018.08.009