研究課題/領域番号 |
15K06717
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
浜崎 浩子 北里大学, 一般教育部, 教授 (00211483)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インプリンティング行動 / 可塑性 / ニワトリ / 幼少期 / 社会性 |
研究実績の概要 |
マイクロアレイによる解析によって、インプリンティング行動の成立に関わる遺伝子の候補として挙がった遺伝子について、孵化後約1日のニワトリ脳におけるmRNAの発現をin situ hybridization法を用いて網羅的に解析した。その結果、終脳のvisual Wulst(哺乳類の大脳皮質視覚野に類似の領域)と扁桃体に顕著な発現が見られたものを見つけることができた。終脳での発現が見られた遺伝子については、visual WulstでのmRNAの発現が、刷込みを惹起できるトレーニングの有無や発達段階(感受性期)に依存して変化するかについて、半定量的PCRによって検討した。その結果、いくつかの遺伝子で発現変化が見られ、これらの遺伝子はインプリンティングに伴う社会性の変化にも関連していることが示唆された。そのうち、一部の哺乳類の大脳皮質の形成に関わるとみられる遺伝子とその関連遺伝子について、インプリンティングの成立における社会性の変化に関わる機能や、その作用機序について詳しく調べることを計画している。 扁桃体とvisual Wulst間、あるいは扁桃体とインプリンティングの記憶が貯蔵されるIMM(intermediate medial mesopallium, 哺乳類の大脳皮質連合野に類似の領域)間の神経連絡を調べる第一歩として、孵化後1週間以内のニワトリ脳を固定し、脂溶性のDiIで細胞を標識することを行った。その結果、VWと扁桃体を結ぶ経路の存在の概要がわかりつつある。今後は、GFPなどを各部位の細胞に発現させることにより、経路を詳細に調べる予定である。 インプリンティングの行動実験では、社会性の影響にも性差がある可能性を示す結果が得られており、条件を整えて実験を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
候補遺伝子の中から、いくつかの遺伝子を絞り込むことができた。扁桃体を含む経路の概要をつかむことができた。
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今後の研究の推進方策 |
着目した遺伝子、その関連分子、受容体遺伝子のクローニングを行い、基礎的なデータを収集するとともに、インプリンティングに関わる機能と作用機序について調べる。また、神経経路の解析のためにトリアデノ随伴ウイルスを用いた実験系を立ち上げる。行動実験を継続し、安定した結果を得ることをめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より、分析用キットの発注が遅れたものがあった。
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次年度使用額の使用計画 |
予定通り、分析用キットの購入に充てる。
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