哺乳類大脳皮質の発生過程において、神経前駆細胞が適切なタイミングで適切な細胞運命を獲得するメカニズムは、大脳皮質を構築する多様な神経細胞の産生を支える最も基本的なメカニズムの一つである。我々は本研究課題を通して、Dmrtファミリー転写因子群がホメオボックス型転写因子であるGsx2およびPax6の発現を抑制することで、神経前駆細胞に大脳皮質としての細胞運命を与え、さらに位置情報依存的な神経細胞の産生を調節していることを明らかにした。これらの知見は、哺乳類が如何にして大脳皮質を獲得したのかという長い間未解明の問いに新しい知見を与える画期的な成果である。
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