恐怖情動と密接に関係する情動要素である不安情動を修飾する内環境受容回路として「肝臓ー迷走神経肝臓枝ー延髄孤束核ー分界条床核」という回路の存在が示唆された。この神経回路は高脂肪食+転写因子PPARγ肝臓特異的発現による肝臓への脂肪異常蓄積によりその活動が惹起され、分界条床核の活性調節を介して個体の不安レベルに影響をもたらすと考えられた。 これまで、肝臓から放出された液性因子による血流を介した情報伝達の重要性が知られていた。我々の今回 の成果はこの既存メカニズムに加えて、肝臓から脳への自律神経情報も脳高次機能の変化を引き起こすことができる、という新しい概念を提示するものである。
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