研究課題/領域番号 |
15K06734
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩崎 広英 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (30342752)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経科学 / 解剖学 / グリア細胞 |
研究実績の概要 |
中枢神経系の中心的な構成要素は神経細胞とグリア細胞である。従来、グリア細胞は神経細胞の支持的役割や栄養の供給などの補助的な役割を担うと考えられてきた。しかし近年の研究の進展に伴い、グリア細胞は積極的に神経細胞と相互作用することにより神経細胞の機能を調節し、脳機能に関与することが明らかとなってきた。 こうした神経細胞とグリア細胞の相互作用は、主に二光子顕微鏡を用いたin vivoイメージングにより解明されてきたが、グリア細胞の微小突起や神経細胞のスパインなどの微細形態は、そのサイズが極めて小さいため、光学顕微鏡の分解能の限界から充分に解明されていない。 本研究では、電子顕微鏡技術と光学顕微鏡技術の融合的手法により、神経細胞ーグリア細胞間相互作用の微細形態解析を目的としている。このためには、光学顕微鏡において相互作用を確認した特定の神経細胞とグリア細胞を電子顕微鏡像において同定し、三次元再構築することが必要となる。しかし光学顕微鏡において細胞の同定に有用である、蛍光タンパク質の遺伝子導入による細胞標識法は、電子顕微鏡試料作成時において蛍光が退色することから電子顕微鏡での細胞同定には利用できない。 本年度は、光学顕微鏡において同定した細胞を確実に電子顕微鏡において同定するための方法の確立に重点を置いた。その結果、光学顕微鏡で観察した細胞を効率的に電子顕微鏡において同定する手法を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、神経細胞とグリア細胞の三次元再構築法を目標として研究をおこなってきたが、そのための重要な課題であった光学顕微鏡と電子顕微鏡で同じ細胞を同定し、観察する手法を確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において確立した光学顕微鏡と電子顕微鏡による同一細胞の形態解析法を用いて、神経細胞とグリア細胞、あるいは特定のグリア細胞1個の詳細な三次元再構築が可能となったことから、来年度は例数を増やして形態解析を行うことにより、神経細胞とグリア細胞の相互作用が及ぼす影響について明らかにする。さらに光学顕微鏡において特定の操作を加えた神経細胞ーグリア細胞間の形態の変化についても解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度からの繰り越し額があったことや、当初予定していた日本顕微鏡学会の大会参加を、学内実習や講義などのスケジュールから見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度から使用を開始した、FIB-SEMの利用代やFIB-SEM用の試料作成に必要となる物品は当初の計画には予定されていなかったため、昨年度からの繰り越し金については、主にそれらの目的に使用する予定である。
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