研究課題/領域番号 |
15K06741
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
八木沼 洋行 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90230193)
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研究分担者 |
本間 俊作 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20261795)
向笠 勝貴 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60706349)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 運動神経 / 頚髄 / アポトーシス / Foxp1 / Hox / HoxC6 / 鳥類 / Bcl2 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、主に鳥類の頚髄に特異的に認められる発生早期に一過性に現れ細胞死によって消失してしまう運動神経細胞群について研究を行った。これまでの研究から、この細胞群はFoxp1陽性を示すこと、Bcl2の強制発現により不死化すると、Raldh2やLhx1といった外側運動神経核(四肢を支配する運動神経群)のマーカーを発現することが明らかとなっている。28年度は、(1)この細胞群の細胞死や分化にFoxp1がどのようにかかわっているか、(2)不死化された運動神経群の投射先の決定について研究を進めた。Foxp1の強制発現や発現抑制によって、Foxp1は、細胞群の外側運動神経核への分化を促進するものの、細胞群の細胞死そのものには影響を及ぼさないことが定量的に明らかとなった。不死化された運動神経細胞群の投射先は、脊髄神経の腹側枝の腹側端に達していることが神経標識法およびRaldh2の免疫組織化学法によって確認された。これらの結果を受けて、細胞死に影響を与えるFoxp1以外の分子の探索を開始した。Foxp1は神経系の吻尾軸における分化を決定するHox転写因子群との関係が深いことから、細胞死の分布とHox転写因子群の分布の関連を調べたところ、HoxC6の発現が頚髄下部から頚膨大部で認められることが分かった。さらに、細胞死を検出する活性型Casp3に対する免疫染色やTUNEL法との二重標識法で詳細にHoxC6発現の分布を調べると、細胞死の分布と相補的なパターンを示すことが明らかとなり、HoxC6が細胞死の抑制に関与している可能性が示唆された。そこで、HoxC6を頚髄中部に異所性に強制発現させたところ、細胞死が抑制された。この結果は、細胞死の制御にHox遺伝子が関与している可能性を示唆している。以上の結果は、論文にまとめ年度末に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は主に細胞死を起こす運動神経細胞群についての研究に進展が見られ、一応の結果を論文投稿までまとめることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、投稿した論文に対する査読意見に対応して細胞死に関する研究を補充すると共に、もう一つの本研究のテーマである頚髄に特異的に認められる背側運動神経(dMN:僧帽筋を支配する運動神経で後根を通って軸索を伸ばす運動神経群)の発生とmiR-9との関係について解析を進める。mir-9過剰発現後のdMNの分化マーカの発現、軸索走行、細胞移動について詳細に解析し、異常が起きているかどうか明らかにする。もし、それらに異常が認められた場合は、その責任分子について解析を進める予定としている。
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