研究課題/領域番号 |
15K06744
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
桃井 隆 東京医科大学, 医学部, 客員教授 (40143507)
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研究分担者 |
神保 恵理子 (藤田恵理子) 自治医科大学, 医学部, 講師 (20291651)
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自閉性障害 / MUPP1 / CADM1 / CNTNAP2 / PDZ / セレトニン / スパイン |
研究実績の概要 |
シナプス接着蛋白ニューロリギンはC末端のPDZ結合配列を介してPSD95に結合する。ニューロリギンやPSD95の下流に位置するSHANK3の変異が自閉性障害(ASD)の患者遺伝子に見出されており、ASDとニューロリギン-PSD95-SHANK3複合体の重要性が指摘されている。一方、申請者はシナプス接着蛋白(CADM1)とCNTNAP1はニューロリギンと異なりPSD95に結合しないが、Multi-PDZ蛋白MUPP1と結合し、機能性シナプスを形成すること、またニューロリギンと同様CADM1の変異をASD患者に見出している。しかし、ニューロリギン-PSD95-SHANK3複合体と異なり、ASDの分子病態との関係は依然不明である。本研究では、複数のMUPP1718番目と702番目の変異を見出した。これらの変異MUPP1を神経細胞に導入することで、MUPP1複合体がスパインの形成に影響に関与することを明らかにした。また、セロトニン誘導体がもたらすスパイン形成に対する変異MUPP1の影響をIn Vitro神経培養系で明らかにした。しかし、実際の脳での効果については、遺伝子改変マウスの作製が遅れていることから、In Vivo解析として子宮内電気穿孔法によりE702M変異を胎児脳に導入し、神経細胞培養し、セレトニン誘導体(アゴニスト)がもたらす、スパイン形成については、遺伝子導入の最適条件や神経細胞の培養条件など検討をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画は以前在籍していた国際医療福祉大学に申請した内容であるが、研究費の申請が採択された平成27年4月には、東京医科大学に研究室を移すことになり、研究体制のセットアップに時間をとられた。とくに、1)研究室の研究機器を移動する際に、冷凍庫が故障し、新たな冷凍庫を購入する必要があり、研究を予定していたいくつかの実験が計画通りできなくなった。2)自閉性障害に関連するMupp1(正常・異常)-5-HT受容体複合体の局在について胎児脳での確認を目的とした遺伝子改変マウスの動物施設への移動、受精卵の作成と飼育開始に約1年を要した。3)遺伝子改変マウスの神経細胞培養し、スパイン形成、とセレトニン誘導体(アゴニスト)がもたらす、スパイン形成について解析する予定であったが、遺伝子改変マウスの作製が間に合わないことから、平成28年より子宮内電気穿孔法により、自閉性障害機構の解明を試みたが、再現性のある実験結果をあげることができていない。
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今後の研究の推進方策 |
Cadm1-KO, Cadm1(Y251S)変異マウスや自閉性障害に関連するMupp1(正常・異常)-5-HT受容体複合体の局在について、スパイン形成、とセレトニン誘導体(アゴニスト)がもたらす、スパイン形成について解析する。遺伝子改変マウスの作製が間に合わないことから、子宮内電気穿孔法により、神経細胞や電気穿孔法によるマウス脳にMupp1(T702M)変異遺伝子を導入して、Mupp1(T702M)変異がもらすCadm1-Mupp1-5HT2複合体形成への異常を解析する。遺伝子改変マウスの神経細胞培養し、脳でのCadm1-Mupp1-5HT2R複合体形成不全、スパイン形成(remolding)の異常の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:遺伝子改変マウスの作製が間に合わないことから平成28年より子宮内電気穿孔法により、自閉性障害機構の解明を試みたが、義母の逝去、実母の入院、介護などで、想定外の時存時期の最適条件の設定に時間がかかり、再現性のある実験結果をあげることができていない。 使用計画:変異Mupp1を発現する神経細胞を同定するため、神経細胞培養必要な器具、試薬と抗体。
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