研究課題
内側側頭葉てんかんのてんかん原性は切除された海馬内、それも歯状回顆粒細胞層またはSubiculumに存在するという見方が近年強まってきている。そのため、それぞれの領域を中心にてんかん患者の切除海馬標本から神経活動を記録し、その異常活動の裏付けとなる形態異常を探索することを中心課題として研究を進めてきた。具体的な検討項目として、①切除海馬標本における異常神経活動の測定と海馬硬化症の進展度合い、②異常神経活動の発生機序を薬理学的・生化学的・免疫組織学的に検討、③脳透明化技術(CUBIC)を応用した神経ネットワークの可視化と3次元的構築を予定している。本年度までにおいては①と②について順調に症例を重ねながら研究を進めており、海馬硬化症が従来考えられていたような単一のてんかん原生機序をもつのではなく、複数の機序が病態の進展に伴って現れるのではないかと推察するに至った。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた、、①切除海馬標本における異常神経活動の測定と海馬硬化症の進展度合い、②異常神経活動の発生機序を薬理学的・生化学的・免疫組織学的に検討、③脳透明化技術(CUBIC)を応用した神経ネットワークの可視化と3次元的構築の実験予定のうち①と②については順調な進捗が見られ、ほぼ当初の予想に沿った形でデータの収集が得られている。
今後は、これまでの実験を継続して、データの堅牢性を増すとともに、③の脳透明化技術(CUBIC)を応用した神経ネットワークの可視化と3次元的構築への取り組みを進めていく。これに関しては、すでに透明化条件の設定は完了しているため、免疫染色のプロトコール作成とデータ取得が主体となる。
症例の蓄積具合などを総合的に勘案した結果、脳透明化技術を応用した3次元的形態解析の実験は、次年度以降に集中して行うのが得策と判断したため、その分の予算は次年度以降へ繰り越した。
脳透明化技術のヒト脳スライス標本への応用のために使用する。まず、免疫染色のプロトコール作成からとりかかるため、必要な抗体や試薬の購入に使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
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