研究課題
内側側頭葉てんかんの手術例において、切除した海馬病理組織標本から生体外で神経活動記録を光学イメージングおよび電気生理学的に記録した。病理組織学的に海馬硬化が明瞭でない症例(HS-)と明瞭な症例(HS+)において、特徴を比較した。前者では、海馬支脚で異常に増強した神経活動を記録し、かつ、CA1領域との間に同期した神経活動を検出した。また、後者においては、海馬支脚においてより増強した神経活動を認めるとともに、歯状回顆粒細胞層の興奮がポジティブフィードバックされている現象を捉えることができた。これらにおいて海馬支脚で測定された自発神経活動の周波数スペクトログラム解析において、臨床脳波で捉えられたものと類似した特徴を持つHFOのSpotが100Hzで検出された。海馬支脚における過剰興奮性のメカニズムを検証するために、てんかん状態をミミックする目的で細胞外K+濃度を3mMから12mMまで段階的に上昇させて、その活動性の変化を検討した。その結果、HS-群においては、100Hz付近でみられたHFOのSpotは細胞外K+濃度の上昇に大きく影響されることはなかったものの、HS+群においては細胞外 K+濃度の上昇に伴って、HFOの中心周波数が上昇していき、12mMではFast ripple領域に達することが明らかとなった。このことはHS+群において細胞外K+濃度の変化に対する脆弱性を示すものであり、その形態学的な裏付けを得るために、細胞外K+のSpatial bufferingに重要な機能を持つKir4.1チャネルとGFAPの二重蛍光免疫染色を行なった。HS-群ではGFAP陽性のほぼ全てのアストロサイトにおいてKir4.1の発現が認められたが、HS+群においては有意に発現が減じていた。これらのことから、病理組織学的な特徴によって異なるてんかん原性機序が存在している可能性を明らかにした。
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