研究課題
神経変性疾患の根本的治療法を開発するには疾患特異的病因蛋白がどのように脳内を拡散伝播するのか、を解明することは不可欠に重要である。伝播メカニズムが分かり、その経路を遮断できれば疾患の悪化を停止させることになる。本年度の本研究では、リン酸化タウ(p-tau)とTDP-43が広範かつ大量に沈着する唯一の疾患であるグアム島のパーキンソン-認知症(PDC)とALS(G-ALS)を検索し、特にp-tauの脳内進展様式を剖検例を用いて検討した。結果は、p-tau陽性所見の進展様式は、陰性症例(Stage 0)、海馬、扁桃核、眼窩回、上前頭回と青斑核に少数の陽性所見が見られるStage I、側頭葉内側部と扁桃体、中脳被蓋に中等量の、前頭葉と頭頂葉皮質、基底核と視床、橋、延髄被蓋に散在性に陽性所見が見られるStage II、これらの部の陽性所見が増量し、散在性にスレッドが認められるStage III、側頭葉と眼窩回、扁桃体と中脳被蓋に多量の、前頭葉、頭頂葉皮質と基底核、視床、橋および延髄被蓋に中等量の陽性所見がみられるStage IVまでの5段階(Stage 0 - IV)に分けられた。p-tau陽性所見は、Stage IからIIまでは殆どが神経原線維変化(NFT)であり、Stage IIIではNFTとスレッドが陽性であった。Stage IVではこれらに加えアストロサイトの陽性所見(granular hazy astrocyte: Oyanagi K, et al. J Neuropathol Exp Neurol 1997) が多数認められた。PDCとG-ALSの脳脊髄におけるリン酸化タウの進展が5段階に分けられること、それは大脳皮質と基底核から発して脳幹に達し、アルツハイマー病のリン酸化タウの進展様式とは全く異なっていることを見出した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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