研究課題/領域番号 |
15K06758
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
橋本 悟 大分大学, 医学部, 助教 (60352150)
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研究分担者 |
花田 克浩 大分大学, 医学部, 助教 (90581009)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コケイン症候群 |
研究実績の概要 |
本計画は、早老症の一種であるコケイン症候群の認知機能異常を解明するため、最新の遺伝子改変技術を用いたモデル細胞を用いて、神経細胞の分化・維持機構の分子メカニズムを解明することである。コケイン症候群には、出生時より神経系の異常がある重症型、小児期に精神遅滞を発症する古典型、成人後に認知症が急激に進行するする軽症型がある。このうち軽症型には、コケイン症候群B群遺伝子(CSB)の翻訳開始付近に終止コドンが入る変異が特徴的である。本研究計画では先ず、CRISPR-Cas9システムを確立し、神経細胞に分化可能なヒトグリオブラストーマ由来であるSH-SY5Y細胞を用いて、コケイン症候群B群遺伝子(CSB)ノックアウトおよび患者由来の変異導入を試みた。CRISPR-Cas9システムで用いる標的配列を、CSB遺伝子の翻訳開始付近と、CSB遺伝子のヘリケースドメイン内にデザインすることで、軽症型変異のコケイン症候群モデル細胞と、古典型の変異を有するモデル細胞の作成に取りかかった。コケイン症候群の患者家族達との交流で、普段の食生活と臨床病態との関連性を討論した。ここから、神経細胞の維持に必要な代謝学的なアプローチを本研究計画に組み入れることを検討し、肝細胞癌、大腸癌由来の細胞を用いて同様のモデル細胞作成を行い、様々な代謝系と代謝物の輸送に関わるトランスポーターの機能を検討していく研究準備を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未知の翻訳開始部位の存在等で、CSB遺伝子上の標的部位の同定に時間を要し、ノックダウン細胞のサブクローニングの段階で終了したが、当初の実験計画でも、疾患モデル細胞の作成に1年を要すると予定していたため。
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今後の研究の推進方策 |
サブクローニングで得られた細胞のゲノム配列確認後、速やかに遺伝子発現プロファイリング、細胞形態学的評価をまず行う。その後、成長速度の違、紫外線感受性等を正常細胞と比較する。その上で、レチノイン酸による神経細胞への分化の系を用いた研究を進める。また他の細胞株でも同様の方法でコケイン症候群遺伝子に変異を作成していく。
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