研究課題
アルツハイマー病予防に向けて培養神経細胞モデルを用いた脳内アミロイドβ(Aβ)の新しい抑制法の検討を続けた。胃炎・胃潰瘍治療剤レバミピドは外来性Aβ 1-43(Aβ43)がもたらす cell viability 低下を改善し、細胞自身からのAβ 1-42(Aβ42)産生・分泌も抑制するという新知見に加え、その機序として、レバミピドによる外来性Aβ43の細胞内オリゴマー化抑制、並びに、αセクレターゼTACEやAβ分解酵素neprilysin等の発現増強を明らかにしてきた(2017年5月24日受理:Fukui ら、Neurosci Res 2017; 124: 40-50)。続いて、天然由来レスベラトロール二量体のグネチンCが、同じくトランスレスベラトロール二量体であるε-ビニフェリンやレスベラトロール単量体に比べ、より効果的にAβ42産生を抑制し、さらに外来性Aβ42モノマー (10 μM)によるcell viability の低下を改善することを明らかにした。その効果は、これまで取り上げてきたハーブ油成分(カルノシン酸)、レスベラトロール、エダラボン、レバミピドの単独及び協調効果を上回った。Aβ42産生の抑制においてグネチンCは、Aβ42産生を担う酵素であるBACE1(βセクレターゼ)の発現を抑制し、細胞への高濃度Aβ42曝露においてはAβ42の細胞内への移行及びその細胞内オリゴマー化を抑制した。同時に、グネチンCはAβ42曝露の有無によらず、Aβ分解酵素の一つであるMMP-14の発現を増強した(2018年3月9日受理:Seinoら、Biomed Res, in press)。以上の新知見は脳内Aβの蓄積が引き起こす神経毒性の新しい抑制法開発に繋がることが期待される。
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