脳梗塞の原因となる脳虚血では低酸素と解糖系の亢進に基づく弱酸性化が伴うことが推測されている。脳神経系にも細胞外のpH(プロトン)を感知するOGR1ファミリーGタンパク質共役受容体(OGR1、GPR4、TDAG8、pH 8.0~6.0)が発現しているが、それらの役割は依然不明である。本課題の成果として、虚血再灌流モデルの脳梗塞においてTDAG8が抑制的に機能しており、ミクログリアにおけるTDAG8を介した抗炎症性作用が推測された。また、OGR1、GPR4を介した神経機能制御が推測された。このように、脳虚血時のpH感知性受容体を介した新しい調節機構が予想され、創薬の可能性が考えられた。
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