研究課題
平成27年度ー平成29年度までに行ったマウスLrfnファミリーおよびLrfn2遺伝子欠損マウスで明らかになった興奮性シナプスの分子制御機構に関する研究成果は、第19回運動器科学研究会における若手招待講演で報告することができた。また、アジア人自閉症および統合失調症患者GWASのにおいてLRFN2遺伝子とヒト疾患との遺伝的関連性が示されたことから、ヒト脳機能障害解明および治療法の探索を行うために、げっ歯類よりもヒト脳に構造や機能が進化的に近い実験動物カニクイザルを用いた研究を開始した。遺伝子操作が容易なin vitro系実験を可能にするために、カニクイザルES細胞を樹立し、サルES細胞の神経細胞分化誘導系を立ち上げた。誘導された神経細胞は、MAP2およびSynapsin I陽性であることを確認した。同時に、テトラサイクリン発現誘導型サルLrfn遺伝子のサルES安定株を作製し、シナプス接着分子およびシナプスオーガナイザーを標的としたサルES細胞分化神経細胞における機能解析実験系の確立を進めた。このようなサルES細胞を用いたシナプス接着分子の機能解明研究に関しては前例がなく、本研究が世界で初めての研究になる。現在も引き続き、Lrfn2自閉症SNP変異体Lrfn2 R274H、統合失調症SNP変異体Lrfn2 E462DおよびC-末端欠失体Lrfn2 deltaCを比較対照におき、分化に伴った神経突起伸展やシナプスマーカーの挙動変化などについて評価を行っている。さらにプレシナプス結合分子の霊長類由来神経細胞での機能評価を目的に、サルES細胞分化神経細胞と結合分子発現線維芽細胞との共培養実験も行っており、マウス研究で得られた結果との相違を見極めてLrfn2遺伝子改変発達障害モデルサル作製に繋げる計画である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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