研究成果の概要 |
認知症は少子高齢化社会における国際的課題ですが未だその発症機構は充分に理解されておらず新たな分子メカニズムの探索が必要です。本研究では細胞内の小胞体に存在する細胞内カルシウムチャネルに焦点を当て分子メカニズムを探索します。小胞体膜上に存在するIP3受容体は四つのサブユニットが組み合わさりカルシウムチャネルとして働きます。このカルシウムチャネルは脳機能に必須で記憶や学習を担います。本研究課題では、世界で初めて巨大なIP3受容体細胞質ドメインのX線結晶構造解析に成功し、課題期間中に原著論文(PNAS, 2017)と総説(Annual Rev Physiol, 2020)を発表しました。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究成果は日刊工業新聞、科学新聞、化学工業日報に掲載され、二つの異なる国際会議で発表を認められました(GRC, 2017; GRC, 2018)。X線結晶構造解析によって示唆された「リーフレット」部位の変異体を作成し、IP3が結合して生じる構造変化がチャネルに伝達されるメカニズムを証明しました。これらの成果と最近知見をまとめ総説論文を出版しました(Annual Rev Physiol, 2020)。この成果は認知症の原因となるアポトーシスや細胞老化に関わると考えられ、国際共同研究を進め原著論文を発表しました(BBA, 2022, Cell Death Diff, 2022)。
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