研究課題
凝集性タウタンパク質の細胞内封入体は多くの認知症で見られる中核病理であり、タウタンパク質の脳内凝集過程が認知症発症に深く関与しているという「タウ毒性仮説」が提唱されている。同時に、タウ病変がある特定の脳領域から時間経過とともに周辺領域に拡散することで病態が伝播するという仮説が示唆されている。本研究では毒性タウ分子種の同定とタウ毒性伝播説の証明を目的とし、加齢依存的にタウ病変を発症し、脳萎縮が進行するタウオパチーマウスモデルを用いてポジトロン断層画像(PET),核磁気共鳴イメージング(MRI)などによる生体脳マルチモーダルイメージング研究を進めている。本年度は、2ヶ月齢から11ヶ月齢までのタウオパチーマウスモデルのMRIによる脳形態解析、タウPETイメージングを実施し、死後脳標本で観察されていた病理像を生体イメージングにより評価することに成功した。研究に用いるマウスモデルはTetOff システムにより外来遺伝子の発現制御が可能なことから、特定の時期から発現抑制を行なった実験群を作成し、その生体イメージング解析を行なったところ、タウ病変、脳萎縮の進行が発現抑制時期特異的に変化することを突き止めた。現在、病態を進行させうる毒性タウ分子種の同定を目指して研究を継続している。
2: おおむね順調に進展している
順調に進んでいる。
モデルマウスにおけるタウ病変形成過程の立体画像構築と新規イメージングバイオマーカーの開発を推進する。毒性を有するタウ分子種の同定を目指し、毒性タウを標的とした毒性制御因子の探索を行い、治療薬開発研究につなげる。
予測を上回る実験結果を得たため、本年度の消耗品購入量が減少した結果の余剰額。
次年度の消耗品購入にあてる。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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