Reelinシグナルによるゴルジ体の伸長にはPKCファミリーが関与している事が明らかになったが、アイソフォームの同定に関してはこれまではin vitroの実験系でしか明らかにできていなかった。昨年度は、in vivoの系でアイソフォームの同定を行ったが、そのために explant cultureを使用し、培養液中に特定のアイソフォームに対する阻害ペプチドをいれ、大脳皮質第5層の錐体細胞のゴルジ体の形態を調べた。その結果、特定のアイソフォーム(PKCx)に対する阻害ペプチド存在下ではゴルジ体の形態が十分に伸長できていないことを確認した。この時、阻害ペプチドの配列をシャッフルして合成したコントロールペプチドでは正常にゴルジ体が伸長していた。これらの結果から、Reelinシグナルの下流でPKCxが機能してゴルジ体の伸長を制御している事が示唆された。現在、PKCxにリン酸化部位をアラニンに置換したGM130を発現する変異体マウスの作製を行っている。このマウスを使用することにより、Reelinシグナルによるゴルジ体構造制御と神経細胞の発達の関連性を詳細に理解できるようになる事が期待出来る。
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